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大惣 おおそう

図書館情報学用語辞典の解説

大惣

江戸時代の代表的な貸本屋大野屋惣八の通称.1767(明和4)年創業し150年間名古屋で営業した.文化文政の頃大いに繁盛し,武士,庶民を問わず数多くの人々が利用した.小説や演劇などの娯楽書,宗教,易,暦,天文,地理,医学,心学など広範な分野の本を所蔵し,当時の読書傾向が知られる.他の貸本屋が蔵書を顧客の間を一巡すれば売り払っていたのと異なり,蓄積してきたので,1899(明治32)年頃蔵書が帝国図書館,東京帝国大学図書館,京都帝国大学図書館その他に売り払われたとき,その数2万数千部にのぼった.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典について 情報

世界大百科事典内の大惣の言及

【台帳】より

…上方の〈絵入根本〉はこれにあたる。現存の台帳は貸本屋のものが多く,その中では名古屋の貸本屋大野屋惣八(通称大惣)旧蔵のものが大部分を占めている。【土田 衛】。…

【貸本屋】より

…1703年(元禄16)刊の雑俳集《すかたなそ》に〈借り本の書出しか来ル年堺イ〉とあり,江戸中期以後は全国的に広がり,小説類,浄瑠璃本,歌舞伎脚本,軍談,実録などは貸本屋を通じて読まれるのが一般的になった。1802年(享和2)刊《小栗忠孝記》序文に〈つれづれなぐさむるものは やまともろこしの書 むかし今の物がたりの類なり これを小書肆の輩 背に汗し足を空にして竪横(じゆうおう)にはしり 町小路在郷までも 日数を限りて貸ありく 見るものはつかの見料をもて慰む事 当世のならはしとなりぬ〉とあるように,当時の貸本屋は背丈にあまるほどの本を笈箱(おいばこ)やふろしきで背負って得意先を回ったが,後期になると江戸の長門屋(ながとや)や名古屋の大惣(だいそう)(大野屋惣八)のように店を構えて営業するものも現れた。貸本屋は08年(文化5)江戸で656軒(《画入読本外題作者画工書肆名目集》),同じころ大坂で約300軒(《慶長以来大坂出版書籍目録》)という記録もあるが,本屋との兼業者も含めるとこの数をはるかに上回ると思われる。…

【図書館】より

…前者は主として稗史(はいし)小説類,実録もの(事件記事の筆写による速報)を武家・町屋に配った。後者には江戸の長門屋,名古屋の大惣などが知られており,いわば今日の公共図書館と学術図書館を兼ねるだけの蔵書をもっていた。なお民間の文庫としては,2世板坂卜斎の浅草文庫,仙台藩士青柳文蔵の青柳文庫などが名高い。…

※「大惣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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