日本大百科全書(ニッポニカ) 「大腸憩室疾患」の意味・わかりやすい解説
大腸憩室疾患
だいちょうけいしつしっかん
大腸の粘膜が漿膜(しょうまく)側に嚢胞(のうほう)状に突出した状態を大腸憩室といい、憩室が多数存在していて炎症を伴わない憩室症と、炎症を伴う憩室炎に区別されるが、厳密に区別するのはむずかしく、一括して大腸憩室疾患(大腸憩室病)とよぶ。
合併症を伴わない限り特有の症状というものはないと考えられているが、腹痛や腹部膨満感などを訴えたり、約半数に便通異常を訴えるものがあり、便秘よりも下痢が多い。合併症としては憩室出血のほか、腸管穿孔(せんこう)や腸管狭窄(きょうさく)がおもなものである。日本では欧米より少なく、欧米とは逆に半数以上が右側型で、若年者の大部分にみられ、女性より男性に多い。合併症がなければ対症療法を行う。
[岡島邦雄]