大衆社(読み)たいしゅうしゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大衆社」の意味・わかりやすい解説

大衆社
たいしゅうしゃ

国家社会主義団体。売文(ばいぶん)社の一員で、ロシア革命を契機に同社の堺利彦(さかいとしひこ)、山川均(ひとし)らと対立、国家社会主義に傾斜した高畠素之(たかばたけもとゆき)が、1919年(大正8)の同社解散後に設立。岩田富美夫石川準十郎(じゅんじゅうろう)、津久井竜雄(つくいたつお)、北原竜雄らを同人とし、初め売文社の名を継いで『国家社会主義』を刊行、のち大衆社を名のって『週刊大衆運動』『局外』などを刊行した。実践活動にはみるべきものがなく、大正末年には衰退した。高畠は1928年(昭和3)に死去、翌年旧同人は急進愛国党を結成した。

[岡部牧夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の大衆社の言及

【高畠素之】より

…出獄後に堺利彦らの売文社に加わり,《新社会》誌上ではおもに国際情報の紹介とマルクス主義経済学の論説に活躍,とりわけロシア革命の分析とカウツキー《資本論解説》の訳載は注目された。19年に堺利彦らと別れ国家社会主義運動をはじめて大衆社を創設,《国家社会主義》《大衆運動》《局外》《週刊日本》《急進》など自派の新聞雑誌をつぎつぎと創刊するとともに,《解放》《改造》などに社会評論家として健筆をふるう。この間,1920年から23年にかけて日本最初の《資本論》全3巻の完訳を刊行した。…

※「大衆社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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