大越史記(読み)だいえつしき(英語表記)Dai Viêt Suky

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大越史記」の意味・わかりやすい解説

大越史記
だいえつしき
Dai Viêt Suky

ベトナムの最初の歴史書。レ・バン・キウ (黎文休) 編。 13世紀末成立。南越王趙佗 (ちょうだ) から陳朝聖宗 (在位 1258~78) までの朝廷の事業を記す。編者は陳朝の太宗の歴史官。のちファン・フ・ティエン (潘孚先) が『大越史記続編』 (15世紀) を編み,15世紀末にゴ・シ・リエン (呉士連) が前2書を参考にして『大越史記全書』を編んだ。

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旺文社世界史事典 三訂版 「大越史記」の解説

大越史記
だいえつしき

ヴェトナムの史書
前3世紀から,李朝時代までの歴史を記述したもので,1272年に完成した。陳朝の太宗の命を受けた黎文休により編纂された。

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世界大百科事典(旧版)内の大越史記の言及

【大越史記全書】より

…漢文で書かれた編年体のベトナムの正史。はじめレ(黎)朝の史官ゴ・シ・リエンNgo Si Lien(呉士連)がチャン(陳)朝のレ・バン・フー(黎文休)編《大越史記》(1272)とレ朝のファン・フー・ティエン(潘孚先)編《大越史記続編》(1445)を書き改め,編目を新たにして中国から独立するまでを外紀全書5巻,ディン(丁)朝からレ朝成立までを本紀全書10巻として自撰し(1479),この書名でレ朝聖宗に上進した。その後16世紀に撰修された撰者不明の本紀実録6巻と,1665年にファム・コン・チュー(范公著)が編修した本紀続編3巻により神宗までのレ朝史が加えられ,23巻の正史が成った。…

【チャン朝】より

… チャン朝期には科挙制の確立をはじめ,中国の儒教文化が大量に導入された。レ・バン・フー(黎文休)の《大越史記》をはじめ,漢文による歴史書の編纂が行われる一方で,民族文字チュノム(字喃)が盛んに用いられるようになり,また民俗信仰が神統譜としてまとめられる(《越甸(えつでん)幽霊集》)など,民族文化が著しく発展した時代でもある。【桜井 由躬雄】。…

【ベトナム】より

…リ朝中期からチャン朝にいたって儒教文化が興隆するに伴い,朝廷を中心とする詩壇が形成されて漢詩文の隆盛をみたが,チャン朝の文学についてはグエン(阮)朝の《歴朝憲章類志文籍志》にチュー・バン・チン(朱文貞),チュオン・ハン・シエウ(張漢超),チャン・クアン・カーイ(陳光啓)などの廷臣や諸帝の詩文集の名が多く伝えられ,作品もレ(黎)朝に成った《皇越詩選》など後世のアンソロジーで知られている。13世紀にレ・バン・フー(黎文休)によって編修された正史《大越史記》は神話や古代伝説によって民族史の黎明期を叙述したとされ,次いでリ・テー・スエン(李済川)の説話集《嶺南摭怪》が成った。またチュノムによる民族語の絶句や律詩である国語詩が《披沙集》の作者グエン・トゥエン(阮詮)によって創始されるなど,チャン朝における文学には民族意識の勃興を反映する要素が濃い。…

※「大越史記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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