改訂新版 世界大百科事典 「大野氏」の意味・わかりやすい解説
大野氏 (おおのうじ)
豊後大神姓5氏(高智保,阿南,稙田,大野,臼杵)の一つ。豊後国大野郡大野郷(現,大分県豊後大野市の北西部)を本貫の地とした。大野氏の祖大神惟基を蛇神姥嶽(高千穂)大明神の子とする神婚譚をもつが,出自については宇佐大神氏の豊後への進出説と,大和大神(おおみわ)氏の豊後への土着説とがある。前者は宇佐八幡の神官家大神氏が11世紀に,宇佐氏に追われて豊後に進出したとし,後者は豊後介大神良臣の子庶幾(これちか)が大野郡大領として土着したのに始まるとする。大神惟基の第4子基平が大野郷に土着し,大野八郎と称した。その後,盛基,家基,泰基と続くが,この間に大野荘が成立,大野氏は開発領主となり,12世紀末ごろ,京都三聖寺を領家に戴いた。泰基のとき同族の緒方惟義(惟栄)などとともに源氏に味方して功があったが,建久(1190-99)のころ豊後守護として入部した中原親能と大野荘内の神角寺で戦って敗れ,大野氏は滅亡した。
執筆者:佐藤 満洋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報