天国の門(読み)てんごくのもん(英語表記)Porta del Paradiso

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天国の門」の意味・わかりやすい解説

天国の門
てんごくのもん
Porta del Paradiso

L.ギベルティによるフィレンツェサン・ジョバンニ洗礼堂 (東側) 第三門扉。呼称の由来はこれを見たミケランジェロが「天国への門」と激賞したことによる。青銅メッキの華麗な輝きをみせる扉の2葉は左右5つずつの大きなブロンズ・パネルに分けられて旧約聖書による十大場面が表現され,また扉のそれぞれの縁は頭部を持上げた格好の小メダイヨンと小壁龕 (へきがん) 付きの預言者像とを交互に配して豊かに飾られている。諸場面の浮彫は遠近法や洗練されたゴシック曲線の活用,丁寧な細部表現によって絵画的な処理が推し進められ,それぞれが非常に多様な青銅技法で結合されて格調高い魅惑的な効果を生んでいる。 1425年に制作を開始したギベルティが,52年の完成までのちのほとんど全生涯を投入した労作で,彫刻と金工と絵画との完璧に近い合一が表明されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android