夷俘(読み)イフ

デジタル大辞泉 「夷俘」の意味・読み・例文・類語

い‐ふ【××俘】

奈良時代から平安初期にかけて、同化程度の浅かった蝦夷えぞの称。同化が進んだものを俘囚ふしゅうとよぶ。

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精選版 日本国語大辞典 「夷俘」の意味・読み・例文・類語

い‐ふ【夷俘】

  1. 〘 名詞 〙
  2. とりこ。〔春秋左伝‐襄公一〇年〕
  3. 奈良時代から平安初期にかけて、律令国家に対する順化の程度によって、蝦夷区別した呼称の一つ。俘囚(ふしゅう)よりも未順化のものをさす。ただし、平安後期には両者の区別は不分明となった。
    1. [初出の実例]「陸奥国言、去年八月以来、帰降夷俘。男女惣一千六百九十余人」(出典:続日本紀‐天平宝字二年(758)六月辛亥)

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世界大百科事典(旧版)内の夷俘の言及

【蝦夷】より

…そして以後は,勇者という意味の美称エミシは〈毛人〉という形で主として人名などに,強暴なる抵抗民たちという意味のエミシには〈蝦夷〉が用いられるようになった。戦争によって捕虜になったり,もしくは降伏した蝦夷は〈俘囚(ふしゆう)〉〈夷俘〉というふうに呼ばれる。彼らは,大量に内国に送られ,それぞれの国で〈俘囚郷〉をつくって生活した。…

【俘囚】より

…日本古代において,捕虜になるか降伏して国家支配下に置かれた蝦夷(えぞ∥えみし)をいう。夷俘とも称された。古代国家は国家支配の外に立つ蝦夷という抵抗民たちとその領土とを,国家支配の中に組織して,これを〈内民〉〈内国〉に同ずることを蝦夷経営の最終目標にしていた。…

※「夷俘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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