日本歴史地名大系 「奈佐郷」の解説 奈佐郷なさごう 兵庫県:但馬国城崎郡奈佐郷「和名抄」所載の郷。同書高山寺本は「奈沼」とするが誤記とみられる。諸本ともに訓を欠くがナサであろう。円山(まるやま)川の支流奈佐川流域の、現豊岡市栃江(とちえ)・宮井(みやい)から上流の福成寺(ふくじようじ)・辻(つじ)・目坂(めさか)辺りまでを含む。平城宮跡出土木簡に「但馬国城埼郡那佐郷官府(ママ)□龍 神護景雲三年□月(二方カ)豊嶋六斤(斗カ)」があり、官符によりこの年雲龍の六斤を京進した付札とみられるが、雲龍が海辺に産する雲丹とすると、海から離れた所に所在する奈佐郷の貢納品にふさわしくなく、山間部にある出石(いずし)郡小坂(おさか)郷の海藻貢進とともに賦課形態の問題として注目される。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報