女の正月(読み)おんなのしょうがつ

改訂新版 世界大百科事典 「女の正月」の意味・わかりやすい解説

女の正月 (おんなのしょうがつ)

元日を中心とする大正月が〈男の正月〉〈男の年取り〉と呼ばれるのに対して,1月15日を中心とする小正月を〈花正月〉や〈仏の正月〉のほか,〈女の正月〉〈女の年取り〉と呼ぶ所がある。女の正月と呼ばれる日や期間は地方によって異なる。たとえば長野県の安曇地方では,14日の晩を女の年取りといい,夕飯は男が作ることになっていた。新潟県の朝日村(現,村上市)では,16日を〈女の年始〉といい,女が寺や親戚に年始に行ったという。また秋田県鹿角郡では,1月16日以降の半月を女子正月といい,女の休み日にしていた。さらに,正月20日を女の正月という所もある。男が主役をつとめる大正月に対して,女の正月では女が主役となり,社寺に晴着で参ったり,米やお金を村から集めて女だけで酒宴を開く所も見られる。山梨県富士吉田市では,元日から3月3日までを女の正月とし,その年にはじめて会った者は互いに正月の挨拶をしたという。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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