ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「始原合成」の意味・わかりやすい解説 始原合成しげんごうせいprimordial synthesis いわゆる生命の起原以前に,地球上には各種有機化合物が素材物質として蓄積したと考えられ,これらの有機物が原初の無機物と考えられるもの,たとえばアンモニア,炭酸ガス,一酸化炭素,水などから,原初地球上で合成されてきた反応経路を始原合成という。進化の全経過 (化学進化→生化学進化→生物進化) についていえば,いわゆる化学進化の段階にあたる。地球の成立から,最初の微化石が見出される以前の時期なので,ほぼ 45億~35億年前の出来事である。当時の条件を想定した再現実験 simulation experimentsで,アミノ酸,ヌクレオチド,ポルフィリン,アデノシン三リン酸その他,現在の生物にみられる構成物質の合成に成功しているが,最近の地球・惑星科学での知見は,必ずしもこのストーリーを支持していない。代りに,熱水噴出口付近における始原合成が真剣に検討されている。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by