子宮肉腫
しきゅうにくしゅ
Uterine sarcoma
(女性の病気と妊娠・出産)
子宮体部にできる悪性腫瘍には、子宮体癌のほかに子宮肉腫があります。子宮体癌は子宮の内側の表面をおおっている上皮組織から発生しますが、子宮肉腫は子宮の上皮以外の成分から発生する腫瘍です。
子宮体部の悪性腫瘍のわずか数%を占めるまれな病気で、主に40~70代の女性に発生し、予後はきわめて不良です。
子宮体部の筋肉から発生することも多く、子宮筋腫(きんしゅ)との判別が難しいため、筋腫として手術したのちに、病理検査の結果で子宮肉腫と判明することもあります。
他の悪性腫瘍と同様に、突然変異による何らかの遺伝子異常によって起こると考えられています。また、骨盤への放射線照射歴とも関連するとされています。
不正性器出血(月経以外や閉経後の性器出血)、帯下の増加、下腹部の違和感や腫瘤感、腹痛などがみられます。しかし、子宮筋層に限られる初期の子宮肉腫は、ほとんど症状を来しません。子宮筋腫が急激に大きくなったり、閉経後にもかかわらず筋腫や子宮が大きくなった時には、肉腫が疑われます。
内診、子宮の細胞診・組織診、経腟超音波断層法、CT、MRI、腫瘍マーカーなどの諸検査の結果から、総合的に術前診断をします。しかし、子宮体癌と子宮肉腫とを術前に区別するのは困難で、また子宮肉腫と子宮筋腫との区別も困難なことが多く、確定診断は手術によって行われます。
子宮全摘術と両側付属器(卵巣と卵管)摘出術が基本的な治療法です。リンパ節の生検あるいは郭清(きれいに取り除く)は、必要に応じて行われます。手術後には化学療法や放射線療法が追加されます。
再発の治療や肉腫が進行していて手術が不可能な場合には、化学療法や放射線療法が行われます。組織型によって、ホルモン療法が有効な場合があります。
子宮肉腫が疑われる場合には、CTやMRIなどの設備がある総合病院の婦人科で検査を受ける必要があります。
水口 剛雄
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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しきゅうにくしゅ【子宮肉腫】
子宮の悪性腫瘍(あくせいしゅよう)の一種です。子宮がんは、子宮内膜腺上皮(しきゅうないまくせんじょうひ)、子宮頸部扁平上皮(けいぶへんぺいじょうひ)などの上皮成分から発生する悪性腫瘍ですが、子宮肉腫は子宮の非上皮部分から発生する悪性腫瘍で、とくに子宮平滑筋(へいかつきん)から生じたものを子宮平滑筋肉腫(しきゅうへいかつきんにくしゅ)と呼びます。
がんに比べて非常にまれな病気ですが、診断がむずかしく、子宮筋腫(「子宮筋腫」)と診断されて、手術時に発見されることもあります。
40歳から60歳の人によく発病し、発育がとても速いうえ、血行性に(血液の流れによってがん細胞が運ばれて)肝臓や肺にも転移(てんい)をおこしやすく、予後不良の腫瘍です。
治療は手術療法がおもで、子宮全摘出術(ぜんてきしゅつじゅつ)を行ないます。抗がん剤や放射線療法はあまり効果がありません。
最近は、CTスキャン、MRI(磁気共鳴画像装置)などの画像診断、あるいは子宮腔内(しきゅうくうない)の細胞検査などで、子宮肉腫の診断がつくこともありますが、いまだに、婦人科の腫瘍のなかではもっとも診断のむずかしい病気です。
子宮肉腫は、子宮筋腫と同様に子宮が増大しますが、筋腫よりはやややわらかく、その増大速度が筋腫に比べて速いことが特徴です。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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