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出典 法研「EBM 正しい治療がわかる本」EBM 正しい治療がわかる本について 情報
子宮筋腫は、主に子宮筋層内の
小は顕微鏡的な大きさから、大は数十㎝にまで達する硬い球形のこぶができます。こぶは1個から数個できるのが普通です。筋腫の90%以上は子宮体部に発生し、残りは子宮
子宮筋腫ができる原因については不明な点が多いのですが、現在、次のような仮説が提唱されています。
未分化な子宮
粘膜下筋腫や大きな筋層内筋腫の場合は、筋腫がある部分の子宮内膜が薄くなり、うっ血、
また、子宮腔の変形による月経血の排出障害、筋腫の変性・感染、漿膜下筋腫の
筋腫が巨大になり、骨盤内が筋腫で占められるようになると、神経を圧迫して腰痛を起こしたり、膀胱や尿管を圧迫して排尿障害・
子宮筋腫は、不妊症や流・早産の原因になることがあります。それは、筋腫のために子宮内膜への血流が不十分になり、また内腔の形が変化するためと考えられています。とくに、粘膜下筋腫の場合が問題になります。
内診、超音波検査、MRIなどにより診断されます。
子宮筋腫はすべて治療が必要になるわけではなく、治療の対象になるのは全症例の10%程度とされています。症状が強い場合、悪性が否定できない場合、不妊の原因になっていると考えられる場合、分娩障害が予測される場合などが手術の対象になります。実際には、年齢、症状の程度、妊娠の希望の有無など、さまざまな条件を考慮して治療の必要性や方法を決めます。
子どもをつくる希望がある場合は、筋腫部分のみを摘出する子宮筋腫
また、子どもをつくる希望がなく40歳以上であれば、通常は子宮すべてを摘出する単純子宮
薬物療法としては、卵巣機能を抑えて血中エストロゲンのレベルを下げ、
ただし、投与終了後すぐに手術を行わないと、閉経に移行しないかぎり、約6カ月で筋腫は元の大きさにもどります。また、使用される薬剤は低エストロゲン環境をもたらし、更年期障害のような症状や骨量の減少などの副作用を引き起こすので、繰り返し長期に使うことはできません。
最近、一部で行われている子宮動脈
この方法はまだ臨床研究段階にあり、健康保険は適用されません。筋腫の変性による感染や強い痛みなど、重い副作用の発生も報告されていて、将来の妊娠への影響など検討すべき課題が多いのが現状です。
矢野 哲
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
子宮の大部分を占めている筋肉組織から発生する良性の腫瘍を子宮筋腫という。その原因についてはまだ明らかではないが,一つは卵巣ホルモンのアンバランス,とくに卵胞ホルモン優位の環境が原因になると考えられ,もう一つは遺伝的な体質的素因であるといわれている。
子宮筋腫は子宮頸部に発生するものは比較的少なく,90~95%は子宮体部に発生する。また発育の方向に従って,(1)漿膜下筋腫(子宮体部の比較的表面,漿膜の下に発生し,子宮の外側に向かって発育するもの),(2)壁内筋腫(子宮壁の真ん中あたりに発生するもの),(3)粘膜下筋腫(子宮内膜面に近いところの筋層に発生するもので,子宮腔内のほうに突出して発育し,頸管を通って腟内に,ときに腟外にまで下降,露出することがある--筋腫分娩)の3種類に分けられる。
子宮筋腫が発生しても,小さいもの(手掌大以下)や,かなり大きくても漿膜下筋腫の場合には,自覚症状なしのことも少なくない。おもな症状は,筋腫が子宮に発生することからも理解できるように,子宮内膜からの周期的出血による月経の異常である。とくに過多月経(月経の量が多い),月経困難症(月経のときに下腹とか腰が痛い)が挙げられ,症状がひどくなると,月経の時期を問わず出血する不正子宮出血の形をとり,出血が多くて貧血の状態に陥ることもよくみられる。その他,筋腫が大きくなって,まわりの組織,膀胱あるいは骨盤の中の神経や直腸を圧迫するための症状が認められる。しかし過多月経と月経困難症の二つが最もよくみられる症状で,かつ月経困難症(月経痛)は過多月経の程度がひどいほどその程度が強いこと,および月経血が排出されてしまえば月経痛がなくなるのが一つの特徴である。この過多月経は筋腫が粘膜下にできる場合に最も強く,筋腫自体はそう大きくなくとも強い過多月経を起こすことが特徴である。また,過多月経や不正子宮出血が強くなると,しだいに慢性の貧血を起こし,ときには血の濃さが正常の1/2以下,1/3以下に落ちるほどひどい貧血を起こすことがあり,このような場合には心臓も貧血による異常変化を起こしてくる(筋腫心臓)。
→月経異常
子宮筋腫は原則として手術的に摘除する以外に確実に治療する方法はない。子宮筋腫で手術しなければならないのは,一つは筋腫のための過多月経あるいは月経困難症が強く,とくに慢性貧血の状態に陥っている場合である。しかし,大きさが比較的小さいもの(手掌大以下のもの),および過多月経などの症状がないものでは急いで手術する必要は必ずしもないが,3ヵ月ないし4ヵ月ごとに定期検診を受けて貧血があるかないか,また,まれではあるが(1/100以下),肉腫という悪性のこぶに変わることがあるから検査を受ける必要がある。
子宮筋腫の手術法には三つの方法がある。第1の子宮筋腫核出術は筋腫を一つ一つ取り去る方法である。筋腫は筋腫被膜という周囲の組織の反応でできる膜の中にあり,筋腫核出術は簡単に確実に行うことができる。発生した筋腫の数の少ない場合はもちろん,10個,20個とたくさんの筋腫ができている場合でも,一つ一つ丹念に核出することにより筋腫を取り去ることができる。したがって,子宮筋腫が不妊症の原因になっていると考えられる若い女性の場合には,この手術を行うことが原則であり,これにより子どもに恵まれる機会が増える(不妊率は普通の夫婦の場合10%,筋腫があると約30%と増加する)。第2の方法は子宮の腟上部切断術で,これは,子宮筋腫の大部分(90~95%)を占める子宮体部筋腫の場合に,子宮体部を切除するものである。手術手技も比較的簡単で,副損傷も少なく,昔からよく行われてきた。第3が子宮の単純全摘術で,これは子宮だけを全部(卵巣や卵管は残して)取る方法である。子宮筋腫は体部筋腫がほとんどであるから,子宮全体(頸部までも)を取る必要は必ずしもないのであるが,子宮癌を発生しやすい中年以後の年齢に発見された場合に,子宮癌の発生しやすい子宮頸部をも予防的に取るという方法で,現在ではかなり多くの場合にこの手術方法が用いられている。最近ではエストロゲンに対して強い抑制作用を示すGnR-ana-log製剤が用いられ,貧血の改善や腫瘍の縮小が期待される子宮全摘術の術前投与としても有用である。
執筆者:中山 徹也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
たとえば、イチゴなら140g(10~20粒)、パパイアなら1個(正味200g)、ネーブルオレンジなら小2個(正味140g)で摂取することができます。
子宮の平滑筋と結合織線維の異常増殖によって結節をつくる良性腫瘍(しゅよう)で、婦人科領域における腫瘍中もっとも多い。単発性と多発性の場合があるが、普通は多発性で1~30個の結節を形成する。個々の大きさはアズキ大から成人頭大にもなる。発生する子宮の部位により体部筋腫、頸(けい)部筋腫、腟(ちつ)部筋腫に分ける。このうち平滑筋の多い子宮体部筋腫が全体の90%を占めており、腟部筋腫はまれである。35~50歳の過体重の女性、とくに未産婦か、経産婦でも不妊期間の長い人に多くみられる。
発生部位などにより無症状のこともあるが、主症状は過多月経と不正子宮出血で、貧血、めまい、心悸亢進(しんきこうしん)などが現れるほか、腫瘤(しゅりゅう)による圧迫症状、筋腫の続発性変化とよばれる循環障害による諸症状がある。まれに悪性変化(肉腫)をおこす。不妊率が高くなり、妊娠しても筋腫が内側に向かって発育しているときなどは流・早産の率が高くなる。一般的な治療としては、症状の緩和には薬物療法を行うことがあるが、筋腫がこぶし大以上になって圧迫症状が強くなったり、貧血が増悪するような場合に手術を要する。これには筋腫結節(筋腫核)だけを摘出して子宮を温存する子宮筋腫核出術と、子宮全摘除術などがある。
[新井正夫]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…子宮の損傷には分娩時に合併しやすい頸管裂傷や子宮破裂があり,一方,人工妊娠中絶術などの際に起こる子宮穿孔(せんこう)がある。子宮にみられる腫瘍のうち良性のものとして子宮筋腫が挙げられる。子宮は筋腫結節のため著しく増大する。…
※「子宮筋腫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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