デジタル大辞泉
「子宮筋腫」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
しきゅう‐きんしゅ【子宮筋腫】
- 〘 名詞 〙 子宮の筋層にできる腫瘤(しゅりゅう)。良性の腫瘍。過多月経や不正出血がつづき、その結果として貧血や心臓障害のおそれがある。三〇~五〇歳の未産婦に多い。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 
しきゅうきんしゅ【子宮筋腫 Uterine Myoma】
◎子宮の筋肉にできる良性腫瘍(しゅよう)
[どんな病気か]
[原因]
[症状]
[検査と診断]
[治療]
[どんな病気か]
子宮筋腫は、婦人科の病気のなかでももっとも一般的な疾患の1つです。35歳以上の女性の15~30%に子宮筋腫があるといわれています。子宮は、大部分が平滑筋(へいかつきん)という筋肉でできていますが、その筋肉から発生したおでき(腫瘍(しゅよう))のうち、良性のものを筋腫(きんしゅ)といいます。悪性のものは肉腫(にくしゅ)(がんとはの「[悪性腫瘍のいろいろ]」の肉腫)といって、筋腫とは区別しています。
成人女性の子宮は、ニワトリの卵の大きさですが、そこに筋腫ができると徐々に大きくなり、ガチョウの卵大とか、リンゴ大、おとなのにぎりこぶし大、新生児の頭大などと表現されます。ときには、成人の頭より大きくなることもあります。また、個数も1個とは限らず、数個から無数に存在する場合もあります。
[原因]
子宮筋腫の原因は、はっきりしていません。しかし、子宮はもともと生殖器(せいしょくき)であるため、エストロゲンという女性ホルモンの影響を受け、思春期から増大していき、閉経から老年期にかけて縮小していきます。筋腫もエストロゲンにより大きさが変化します。つまり発生の原因は不明でも、発育には女性ホルモンが大きく関与しているのです。
筋腫は発生部位により、漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)(外側)、筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)(中間)、粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)(内側)の3つに分けられます。さらに特殊な場合として筋腫分娩(きんしゅぶんべん)(筋腫が腟(ちつ)に脱出したもの)や頸部筋腫(けいぶきんしゅ)(子宮頸部に発生したもの)があります。
[症状]
子宮筋腫によるおもな症状は、過多月経(かたげっけい)、不正(性器)出血、月経痛、貧血症状、下腹部腫瘤感(しゅりゅうかん)(しこりを感じる)などです。しかし、無症状の場合も多く、筋腫の大きさ、個数、発生部位によってさまざまです。
過多月経とは、毎月の月経の出血量(経血量)が多いことです。これは、子宮が増大するためや、子宮内膜が多くなること、内腔(ないくう)の変形のためなどと考えられます。自分の出血量が多いかどうかは、なかなか判定がむずかしいのですが、血のかたまりが出れば、多いと考えたほうがよいでしょう。
月経痛や不正(性器)出血もしばしばみられる症状です。筋腫によって月経血の流出が妨げられたり、出血が多いためにおこります。月経痛がひどい場合は筋腫ではなく、子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)(「子宮内膜症」)であったり、子宮内膜症と子宮筋腫の合併であったりすることも少なくないので、専門医の判断が必要です。
過多月経や長期の不正(性器)出血を放置しておくと、やがて貧血になります。自分のつくれる血液量よりも毎月の月経血量が多ければ、しだいに血がなくなっていき、動悸(どうき)、息切れがおこります。しかしたいていの場合、貧血は徐々に進行するため、その状態にからだが慣れてしまい、かなりひどくなってからようやく気づくことも多いのです。内科の診察や健康診断のときに初めて貧血といわれ、婦人科受診を勧められて筋腫が見つかることもよくあります。
前記の症状がなくとも、子宮筋腫に気がつくことはあります。なにげなく下腹部を触ったら、かたい腫瘤(こぶ)に触れたというときなどです。ときにはゴツゴツしていて、動くことがありますし、なんとなく下腹部が太ったと思っているだけの人もいます。しかし、このような場合は卵巣(らんそう)が腫(は)れていることがありますので、子宮筋腫だと思って油断しないで、必ず婦人科の診察を受けることが必要です。
子宮筋腫が大きくなって、骨盤内(こつばんない)を占拠(せんきょ)し、その圧迫症状で気がつくこともあります。たとえば、大きくなった筋腫がその前方にある膀胱(ぼうこう)を圧迫し、頻尿(ひんにょう)などの膀胱炎症状が出たり、直腸を圧迫して便秘になったりします。また、筋腫が骨盤内の神経を圧迫すると、足にしびれがおこります。
[検査と診断]
超音波断層法(エコー)がもっとも一般的で、侵襲(しんしゅう)のない(痛みをともなわない)検査です。筋腫が大きい場合、より正確に映し出すために、尿をためて(膀胱をいっぱいにして)、腹部に器械をあて検査します。最近は腟から直接(経腟的に)超音波の器械を入れて行なうことが多く、小さな筋腫や粘膜下筋腫の診断に有効です。
しかし、場合によっては超音波検査だけでは、卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)や子宮悪性腫瘍(しきゅうあくせいしゅよう)と区別できない場合があるので、さらにCTスキャン(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像装置)検査を行なうことがあります。
血液検査では、特有なものはありませんが、貧血が見つかった場合、筋腫の有無を検査する必要があります。また、子宮内膜症、卵巣がん(「卵巣がん」)、子宮がん(「子宮がん」)などと区別するために、CA125、CA19‐9、LDH、IAPなどの腫瘍マーカー(体内にがんができると増加、または出現してくる物質。「[腫瘍マーカー]」)も診断の補助となります。
[治療]
筋腫があるだけでは、治療の対象となりません。筋腫が大きい場合、痛みをともなう場合、貧血を合併する場合、不妊症(ふにんしょう)(「不妊症」)の場合など、理由がある場合に限って治療が必要となります。
治療法には大きく分けて、手術療法と薬物療法があります。基本的には子宮を全摘する手術療法がもっとも一般的で、おなかを切る腹式(ふくしき)と、腟から摘出する腟式(ちつしき)があります。腹式はどんな場合でも行なえますが、腟式は経産婦で、あまり子宮の大きくない場合などに限られます。
手術療法には、筋腫のみを子宮から摘出する筋腫核出術(きんしゅかくしゅつじゅつ)という方法もあります。しかし、この方法は妊娠・出産を希望する人、若い人などに限って行なわれます。筋腫核出術は、筋腫の大きさ、数、発生部位によっては、全摘術より出血量が多くなることがあり、術後の回復の遅れや、癒着(ゆちゃく)の可能性、筋腫再発の可能性、子宮がんをおこす可能性など、欠点が多くあるからです。
よく、子宮をとると女性でなくなると思われる人がいますが、決してそうではありません。たしかに子どもはできなくなりますが、卵巣が残っているかぎり女性ホルモンは出ます。月経時の出血はなくなってもホルモン周期はありますし、ホルモン的にはなんら変化がないといわれています。また、精神的には十分女性のままであり、腟も残っているので性交にも支障ありません。
薬物療法は、最近脚光をあびるようになってきた治療法です。女性ホルモンを抑えることで、筋腫や子宮内膜症に治療効果が得られることがわかってきました。脳の視床下部(ししょうかぶ)の性腺分泌(せいせんぶんぴつ)ホルモンが、脳下垂体(のうかすいたい)に卵巣を刺激するホルモンを出させ、さらに卵巣の女性ホルモンが分泌されますが、このホルモンの流れを薬が抑えてしまうのです。閉経時と同じ状態になるため、偽閉経療法(ぎへいけいりょうほう)といわれています。
しかし現在のところ、まだいくつかの問題点をかかえています。薬物によって、筋腫の縮小はあっても、消失することはないこと、薬を中止し、再び月経が戻ると再発する可能性があること、女性ホルモン低下によって更年期障害(こうねんきしょうがい)、骨塩量(こつえんりょう)低下の副作用があること、最長6か月間しか治療できず、その6か月間の治療でかかる費用が決して安くない(保険3割負担で約7~12万円)ことなどです。
治療法の選択にあたっては、一人ひとり、症状、条件がちがいますので、それぞれが担当の婦人科医とよく相談して決定するべきでしょう。
■子宮筋腫合併不妊症(しきゅうきんしゅがっぺいふにんしょう)
筋腫が卵管の通過性を悪化させたり、内腔に突出して受精卵の着床障害をおこしている場合、不妊の原因となることがあります。しかし、そのような場合でも妊娠することがあるので、ほかに不妊の原因となる異常がないかどうか調べる必要があります。手術により子宮に癒着がおこり、かえって不妊の原因をつくることがあるので、子宮卵管造影検査(腟から子宮および卵管に造影剤を注入してX線撮影し、流通状態や狭窄(きょうさく)を診断する方法)や子宮ファイバースコープ(内視鏡)などで確認し、手術したほうがよいかどうか慎重に決めるべきです。
■子宮筋腫合併妊娠(しきゅうきんしゅがっぺいにんしん)
妊娠して筋腫が見つかることがよくあります。妊娠により女性ホルモンが大量に出るため筋腫も大きくなることや、妊娠で初めて産婦人科を受診して、筋腫が発見されるという人が少なくないからです。
子宮筋腫合併妊娠の場合、流産、早産になりやすいといわれています。以前は妊娠中に筋腫核出術がよく行なわれましたが、最近はあまり行なわれないようです。自然の流産、早産より、手術のリスクのほうが高いと考えられるためです。しかし、妊娠5か月ごろよく腹痛がおこったり、結局帝王切開(ていおうせっかい)になったりと、合併症を覚悟しなければならず、手術するかしないかは、位置や大きさをよくみて、主治医と相談するほうがよいでしょう。
出典 小学館家庭医学館について 情報
Sponserd by 
子宮筋腫 (しきゅうきんしゅ)
myoma of uterus
子宮の大部分を占めている筋肉組織から発生する良性の腫瘍を子宮筋腫という。その原因についてはまだ明らかではないが,一つは卵巣ホルモンのアンバランス,とくに卵胞ホルモン優位の環境が原因になると考えられ,もう一つは遺伝的な体質的素因であるといわれている。
種類
子宮筋腫は子宮頸部に発生するものは比較的少なく,90~95%は子宮体部に発生する。また発育の方向に従って,(1)漿膜下筋腫(子宮体部の比較的表面,漿膜の下に発生し,子宮の外側に向かって発育するもの),(2)壁内筋腫(子宮壁の真ん中あたりに発生するもの),(3)粘膜下筋腫(子宮内膜面に近いところの筋層に発生するもので,子宮腔内のほうに突出して発育し,頸管を通って腟内に,ときに腟外にまで下降,露出することがある--筋腫分娩)の3種類に分けられる。
症状
子宮筋腫が発生しても,小さいもの(手掌大以下)や,かなり大きくても漿膜下筋腫の場合には,自覚症状なしのことも少なくない。おもな症状は,筋腫が子宮に発生することからも理解できるように,子宮内膜からの周期的出血による月経の異常である。とくに過多月経(月経の量が多い),月経困難症(月経のときに下腹とか腰が痛い)が挙げられ,症状がひどくなると,月経の時期を問わず出血する不正子宮出血の形をとり,出血が多くて貧血の状態に陥ることもよくみられる。その他,筋腫が大きくなって,まわりの組織,膀胱あるいは骨盤の中の神経や直腸を圧迫するための症状が認められる。しかし過多月経と月経困難症の二つが最もよくみられる症状で,かつ月経困難症(月経痛)は過多月経の程度がひどいほどその程度が強いこと,および月経血が排出されてしまえば月経痛がなくなるのが一つの特徴である。この過多月経は筋腫が粘膜下にできる場合に最も強く,筋腫自体はそう大きくなくとも強い過多月経を起こすことが特徴である。また,過多月経や不正子宮出血が強くなると,しだいに慢性の貧血を起こし,ときには血の濃さが正常の1/2以下,1/3以下に落ちるほどひどい貧血を起こすことがあり,このような場合には心臓も貧血による異常変化を起こしてくる(筋腫心臓)。
→月経異常
治療
子宮筋腫は原則として手術的に摘除する以外に確実に治療する方法はない。子宮筋腫で手術しなければならないのは,一つは筋腫のための過多月経あるいは月経困難症が強く,とくに慢性貧血の状態に陥っている場合である。しかし,大きさが比較的小さいもの(手掌大以下のもの),および過多月経などの症状がないものでは急いで手術する必要は必ずしもないが,3ヵ月ないし4ヵ月ごとに定期検診を受けて貧血があるかないか,また,まれではあるが(1/100以下),肉腫という悪性のこぶに変わることがあるから検査を受ける必要がある。
子宮筋腫の手術法には三つの方法がある。第1の子宮筋腫核出術は筋腫を一つ一つ取り去る方法である。筋腫は筋腫被膜という周囲の組織の反応でできる膜の中にあり,筋腫核出術は簡単に確実に行うことができる。発生した筋腫の数の少ない場合はもちろん,10個,20個とたくさんの筋腫ができている場合でも,一つ一つ丹念に核出することにより筋腫を取り去ることができる。したがって,子宮筋腫が不妊症の原因になっていると考えられる若い女性の場合には,この手術を行うことが原則であり,これにより子どもに恵まれる機会が増える(不妊率は普通の夫婦の場合10%,筋腫があると約30%と増加する)。第2の方法は子宮の腟上部切断術で,これは,子宮筋腫の大部分(90~95%)を占める子宮体部筋腫の場合に,子宮体部を切除するものである。手術手技も比較的簡単で,副損傷も少なく,昔からよく行われてきた。第3が子宮の単純全摘術で,これは子宮だけを全部(卵巣や卵管は残して)取る方法である。子宮筋腫は体部筋腫がほとんどであるから,子宮全体(頸部までも)を取る必要は必ずしもないのであるが,子宮癌を発生しやすい中年以後の年齢に発見された場合に,子宮癌の発生しやすい子宮頸部をも予防的に取るという方法で,現在ではかなり多くの場合にこの手術方法が用いられている。最近ではエストロゲンに対して強い抑制作用を示すGnR-ana-log製剤が用いられ,貧血の改善や腫瘍の縮小が期待される子宮全摘術の術前投与としても有用である。
執筆者:中山 徹也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
Sponserd by 
しきゅうきんしゅ【子宮筋腫】
《どんな病気か?》
〈30歳代以降の5人に1人に子宮筋腫が発生〉
子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)は、30歳代以降の女性の20~30%の人にあるというほど、婦人科では一般的な病気です。年齢を増すごとに発生率は高くなりますが、その発生原因ははっきりしていません。ただ、子宮の筋肉に発生する筋腫は良性の腫瘍(しゅよう)であり、その発育には、女性ホルモンが影響していることはわかっています。
筋腫は人によって発生する部位や大きさ、個数などが異なります。そのため、過多月経(かたげっけい)、不正出血(ふせいしゅっけつ)、極度な月経痛、それにともなって起こる貧血(ひんけつ)など、現れる自覚症状もさまざまです。発生した部位や大きさによっては、下腹部にしこりを感じたり、子宮の周囲を圧迫するため、頻尿(ひんにょう)や便秘(べんぴ)、腰痛(ようつう)を訴えることもあります。なかには、まったく自覚症状のない人もいます。
症状がひどい場合や筋腫が大きくなってしまった場合に、子宮の部分的または全摘出手術を行うのが、現在のところ、もっとも多い治療法です。術後は子宮を摘出したことで受けるダメージを緩和するための心のケアと、体力を回復させるための食事を心がけることがたいせつです。
《関連する食品》
〈ホウレンソウの鉄分、くだもののビタミンC〉
○栄養成分としての働きから
たいせつなのは摘出手術後のケアです。基本は各栄養素を十分摂取すること。そのうえで、低下した体力を取り戻すためにたんぱく質やミネラル、ビタミン類を、また手術で失われた血液を補うために鉄分を多めにとるように心がけましょう。
その点、ビタミンを多く含む緑黄色野菜のなかでも、ホウレンソウなどの青菜類は鉄分も多いので、くふうしながら毎日でも食べたい食品です。また、手術によって傷ついた結合組織を再生させるのに役立つのがビタミンC。1日に必要な摂取量を、くだものならデザートとしても効率よくとれます。たとえば、イチゴなら140g(10~20粒)、パパイアなら1個(正味200g)、ネーブルオレンジなら小2個(正味140g)で摂取することができます。
〈ハスの実、キクラゲ、シイタケが有効〉
○漢方的な働きから
子宮筋腫は、原因がわからないだけに、食事によって改善するのがむずかしい病気です。しかし、治療の必要がない子宮筋腫の諸症状なら、婦人科疾患に有効なものが多い漢方によって緩和できます。
月経過多や不正出血には、食品としてはハスの実やキクラゲ、シイタケ、当帰(とうき)やヨモギの煎(せん)じ汁などが効果的です。漢方薬としては、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、女神散(にょしんさん)、温清飲(うんせいいん)などがあります。
出典 小学館食の医学館について 情報
Sponserd by 
子宮筋腫
しきゅうきんしゅ
myoma of uterus
子宮の平滑筋と結合織線維の異常増殖によって結節をつくる良性腫瘍(しゅよう)で、婦人科領域における腫瘍中もっとも多い。単発性と多発性の場合があるが、普通は多発性で1~30個の結節を形成する。個々の大きさはアズキ大から成人頭大にもなる。発生する子宮の部位により体部筋腫、頸(けい)部筋腫、腟(ちつ)部筋腫に分ける。このうち平滑筋の多い子宮体部筋腫が全体の90%を占めており、腟部筋腫はまれである。35~50歳の過体重の女性、とくに未産婦か、経産婦でも不妊期間の長い人に多くみられる。
発生部位などにより無症状のこともあるが、主症状は過多月経と不正子宮出血で、貧血、めまい、心悸亢進(しんきこうしん)などが現れるほか、腫瘤(しゅりゅう)による圧迫症状、筋腫の続発性変化とよばれる循環障害による諸症状がある。まれに悪性変化(肉腫)をおこす。不妊率が高くなり、妊娠しても筋腫が内側に向かって発育しているときなどは流・早産の率が高くなる。一般的な治療としては、症状の緩和には薬物療法を行うことがあるが、筋腫がこぶし大以上になって圧迫症状が強くなったり、貧血が増悪するような場合に手術を要する。これには筋腫結節(筋腫核)だけを摘出して子宮を温存する子宮筋腫核出術と、子宮全摘除術などがある。
[新井正夫]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
Sponserd by 
子宮筋腫【しきゅうきんしゅ】
子宮の平滑筋から発生する良性の腫瘍(しゅよう)。肥満した人に多い。子宮の外側に腫瘤(しゅりゅう)のできる漿膜(しょうまく)下筋腫,子宮腔内にできる粘膜下筋腫,筋層内にできる壁内筋腫などがある。原因は不明だが卵巣機能と密接な関係があることは確実。症状は月経血量の増加,不正出血,隣接臓器の圧迫症状,疼痛(とうつう),貧血など。障害がなければ放置する場合もあるが,腫瘍の発育程度,状態の変化によりX線照射や,筋腫のみの切除または子宮腟(ちつ)上部切断,子宮全摘除術を行う。癌(がん)と違い転移のおそれはない。
→関連項目筋腫|月経過多|月経閉止|子宮後屈症|ホルモン補充療法
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
Sponserd by 
子宮筋腫
しきゅうきんしゅ
myoma of the uterus
子宮筋層に発生する良性の腫瘍で,子宮腫瘍としては最も多く,婦人科の手術率もいちばん高い。発生する場所によって,粘膜下筋腫,壁内筋腫,漿膜下筋腫に分けられる。不正出血,月経過多,月経困難症などによって発見されることが多いが,症状がまったくないこともある。出血が多く,貧血を起したり,過大になって圧迫などによる障害の著しいときは子宮を除去する。ただし,若い人で出産を希望する場合は,筋腫だけを摘出する手術を行うこともできる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
Sponserd by 
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
Sponserd by 
世界大百科事典(旧版)内の子宮筋腫の言及
【子宮】より
…子宮の損傷には分娩時に合併しやすい頸管裂傷や子宮破裂があり,一方,人工妊娠中絶術などの際に起こる子宮穿孔(せんこう)がある。子宮にみられる腫瘍のうち良性のものとして子宮筋腫が挙げられる。子宮は筋腫結節のため著しく増大する。…
※「子宮筋腫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
Sponserd by 