筋腫(読み)キンシュ

デジタル大辞泉 「筋腫」の意味・読み・例文・類語

きん‐しゅ【筋腫】

筋肉にできる良性腫瘍しゅよう多く平滑筋に生じ、子宮筋腫が最も多い。

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精選版 日本国語大辞典 「筋腫」の意味・読み・例文・類語

きん‐しゅ【筋腫】

  1. 〘 名詞 〙 筋肉にできる腫瘤(しゅりゅう)。もっとも多いのは、子宮筋腫で、消化管皮膚、膀胱、卵巣などにもまれにできる。
    1. [初出の実例]「筋腫だって話だったけど、あのときもう手遅れで」(出典:恍惚の人(1972)〈有吉佐和子〉一五)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「筋腫」の意味・わかりやすい解説

筋腫
きんしゅ

筋肉組織から発生する腫瘍(しゅよう)で、良性の非上皮性腫瘍に含まれ、平滑筋線維からなる平滑筋腫と、横紋筋線維からなる横紋筋腫とに分類される。平滑筋腫は球状ないしは塊状で、横に切ってみると、いわゆる唐草(からくさ)模様が明瞭(めいりょう)であるが、顕微鏡下では、種々の方向に走る平滑筋線維からなることがわかる。平滑筋腫は子宮に発生することがもっとも多く、消化管の筋層などにもしばしば発生する。子宮筋腫は30歳以上の女性にみられ、月経が閉止する時期の前にもっとも大きく発育する。臨床症状を現さないこともあるが、大きいものでは圧迫症状や不正出血月経過多による貧血心臓拡張などの筋腫心とよばれる状態を示す。子宮筋腫の中に子宮内膜組織を認めることがあるが、これは腺(せん)筋腫とよばれる。一方、横紋筋腫はグリコーゲンに富み、心筋、舌、食道などにみられるが、まれな腫瘍である。

渡辺 裕]

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家庭医学館 「筋腫」の解説

きんしゅ【筋腫】

 筋腫とは、文字どおり筋肉から発生する腫瘍(しゅよう)(おでき)のことです。筋肉には、手足などを動かす横紋筋(おうもんきん)と、心臓や胃腸などを動かす平滑筋(へいかつきん)の2種類がありますが、筋腫の多くは平滑筋から発生し、このうち子宮はもっとも筋腫のできやすい臓器です。
 腫瘍には、良性と悪性、そして境界悪性といわれるものがあります。筋腫は、一般的に良性のものをさしており、悪性のものは肉腫(にくしゅ)(筋肉腫)といって区別します。肉腫は数こそ少ないのですが、手術前に筋腫と見分けがつかないことが多く、術後摘出物(てきしゅつぶつ)の顕微鏡検査(病理検査)で初めてわかることがかなりあります。筋腫は周囲の筋肉と境界がはっきりしており、半年くらいでは、それほど急激に大きくなりません。したがって急激に増大するような場合は、肉腫を疑って、早めに手術をしたほうがよいでしょう。

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百科事典マイペディア 「筋腫」の意味・わかりやすい解説

筋腫【きんしゅ】

筋組織から発生する腫瘍(しゅよう)。横紋筋腫は悪性であるが,きわめてまれで,舌や心臓などに生ずることがある。平滑筋腫はしばしばみられるが,良性で,それ自体としては生命の危険はなく,手術による予後も良好。子宮筋腫が代表的なもので,その他,胃腸,膀胱(ぼうこう)などに生ずる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「筋腫」の意味・わかりやすい解説

筋腫
きんしゅ
myoma

平滑筋腫ともいう。多くは平滑筋から発生する境界鮮明の結節状の良性腫瘍。子宮に多発するほか,消化器特に胃の筋層,まれには皮膚,卵巣などにもみられる。組織学的には平滑筋線維束が交差して増殖し,膠原線維の増加も伴う。同じ筋腫でも,横紋筋由来の良性の横紋筋腫はきわめてまれな病変である。

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