大学事典 「学外学位」の解説
学外学位
がくがいがくい
イギリスにおいて,ある特定の教育機関に在籍して定められた学位コースを履修するのではなく,一定の試験に合格することによって授与される学位。候補者は独学や通信教育その他さまざまな方法で準備して試験に臨む。1858年に発足したロンドン大学の学外学位がその最初で広く知られている。最初にユニバーシティ・カレッジが誕生し(1826年),それに対抗するかたちでキングズ・カレッジが創設され,次いで両カレッジの学生への試験機関・学位授与機関としてロンドン大学が設立された(1836年)という特異な事情がその背景にある。学外学位は教授活動と試験を分離するイギリス独特の考え方から生まれ,またそれを促進する方向にも作用した。イギリスが海外に多くの植民地を持っていたことも学外学位が発展する一因としてあった。ちなみに植民地では1865年にインド洋南西部のモーリシャスで最初の試験が実施されている。今日ではロンドン大学国際プログラム(University of London International Programmes)として広く展開されている。
著者: 安原義仁
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報