知恵蔵 「宇宙素粒子物理」の解説 宇宙素粒子物理 素粒子の探究を、宇宙から届く情報をもとに進めようという新しい流れ。草分けとして評価が定まっているのは、超新星ニュートリノを岐阜・富山県境付近の神岡鉱山地下で捕まえ、ノーベル物理学賞を受けた小柴昌俊らの研究だ。最近は欧州の物理学界が、この言葉を看板に掲げて域内の国々の連携態勢を整えつつある。この数十年間、素粒子の実験は、人工の高エネルギー世界を加速器でつくりだすことで新しい粒子や現象を見つけてきた。ところが、新発見に必要なエネルギーが高くなりすぎ、予算面などで限界が迫っている。こうしたなかで、加速器を使わない非加速器素粒子物理学が期待を集めていたが、その模索が「宇宙素粒子」という明確な方向性をもち始めたといえよう。ニュートリノや暗黒物質などが探究の標的となっている。 (尾関章 朝日新聞記者 / 2008年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by