安刀郷(読み)あとごう

日本歴史地名大系 「安刀郷」の解説

安刀郷
あとごう

和名抄」所載の郷。諸本ともに訓を欠くが、アトであろう。建久二年(一一九一)五月一九日の西大寺所領庄園注文案(西大寺文書)に、「入間郡安堵郷栗生村 田四十町 林六十町」とある。これは宝亀一一年(七八〇)一二月二五日の西大寺資財流記帳(同文書)の「一巻 武蔵国墾田文図宝亀九年、在国印」「一巻 同国林地帳宝亀九年、在国印」、「武蔵国入間郡榛原庄一枚布、在国印」とつながる。「日本地理志料」は現所沢市の北野きたの久米くめ一帯とし、「大日本地名辞書」は現川越市の上戸うわどかすみせき一帯とする。また前掲の注文案にみえる「栗生」を粟生の誤記として現坂戸市の粟生田あおうだと考え、承元四年(一二一〇)三月二九日の小代行平譲状(小代文書)の「一所 よしたのむら(吉田村)四至(中略)、南、あとかはをかきる(後略)」「一所 みなみあかをのむら(南赤尾村)の四至(中略)、南、あとかはをかきる(後略)」の「あとかは」の「あと」を安刀郷の地名に結び付け、坂戸市の粟生田上吉田かみよしだ赤尾あかおの一帯を安刀郷に当てる説がある(坂戸風土記)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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