四至(読み)シイシ

精選版 日本国語大辞典 「四至」の意味・読み・例文・類語

し‐し【四至】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しじ」とも ) 所有地、耕作地、寺域などの東西南北の四方の境界。四極境内。しいし。
    1. [初出の実例]「御坐地、度会郡宇治里伊鈴河上之大山中、四至」(出典:皇太神宮儀式帳(804))
    2. 「落機(ロッキー)以西の大漠野は、四至皆山にて、水の大洋に注入する処なし」(出典米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)

しい‐し【四至】

  1. 〘 名詞 〙 「しし(四至)」の慣用読み。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四至」の意味・わかりやすい解説

四至
しいし

「しし」の慣用読みで古代中世屋敷地田地所領などの範囲を示す四方の境界をいう。「四至,東は畔にいたる,西公田にいたる,南古川にいたる,北溝にいたる」のように用いられた。

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世界大百科事典(旧版)内の四至の言及

【境】より

… 中世成立期,とくに11,12世紀以降,山野河海における活発な開発が進行した。そうした開発に裏づけられて荘・郷・保などの中世的領域支配が成立してくるが,そうした領域の東西南北の境を示す〈四至(しいし)〉に記されている広義の地名によって,中世的な境を知ることができる。整理すると,(1)国境,郡境,荘境,(2)条里坪付,畦畔,(3)道,大路,橋,(4)固有名詞の山,谷,河,海等,(5)普通名詞=地形名としての山,岡,谷,河,海,葦原等,(6)寺社,墓などであり,それらが中世的な境界とされたのである。…

※「四至」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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