安吉保・安吉庄(読み)あきほ・あきのしよう

日本歴史地名大系 「安吉保・安吉庄」の解説

安吉保・安吉庄
あきほ・あきのしよう

古代蒲生郡安吉郷(和名抄)の郷名を継承する保(庄園)で、現竜王町の北東部から近江八幡市南部一帯に比定される。摂関家(殿下渡領)は安吉保として、奈良興福寺は安吉庄として領有した。なお、ほかに永源寺(応永一七年七月二五日「足利義満御教書」永源寺文書)伊勢神宮(年未詳八月一日「大宮司大中臣某下文」神宮文庫)なども安吉郷内に所領を有した。

藤氏長者領の一つ安吉保は法成ほうじよう(跡地は現京都市上京区)領で、伊勢神宮役夫工米の賦課を免除されていた(「民経記」寛喜三年一〇月九日条)。弘安六年(一二八三)二月一三日の藤原泰俊所帯名田等譲状(蒲生文書)にも保名がみえ、嘉元三年(一三〇五)四月頃の作成と推定される摂家渡庄目録(九条家文書)では「安吉保 免田十町 加納百町」とあるが、藤氏長者渡領となった経緯や支配の実態などについては明らかでない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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