神宮文庫(読み)ジングウブンコ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「神宮文庫」の意味・わかりやすい解説

神宮文庫
じんぐうぶんこ

伊勢(いせ)神宮の経営する図書館。伊勢市倉田山にある。その起源は、度会延佳(わたらいのぶよし)などが1648年(慶安1)に創設した豊宮崎(とよみやざき)文庫と、宇治会合年寄(としより)が1686年(貞享3)に建てた林崎(はやしざき)文庫(初め内宮(ないくう)文庫と称した)にさかのぼる。両文庫には多くの大学者が来庫し、秘籍の献納も相次いだが、1907年(明治40)に当文庫の名のもとに統一された。伊勢神宮の所蔵する根本史料をはじめとして、神道(しんとう)、国史、国文関係の重要な典籍を蔵している点に当文庫の特色があり、蔵書数は24万冊の多きに達している。国宝『玉篇(ぎょくへん)』巻22、国重要文化財の『古事記裏書』『古事記上巻』『日本書紀私見聞』など貴重な書400余冊がある。また旧久邇宮(くにのみや)下賜本、近世の神宮考証学の面で名高い御巫清直(みかんなぎきよなお)の退蔵(たいぞう)文庫、塩業関係史料として知られる御塩殿(みしおでん)文書などまとまりある文書・書籍は少なくない。

[中西正幸]

『神宮文庫編『神宮文庫図書目録』(1922・神宮司庁)』『神宮文庫編『善本写真集』(1958・神宮司庁)』

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百科事典マイペディア 「神宮文庫」の意味・わかりやすい解説

神宮文庫【じんぐうぶんこ】

伊勢市にある伊勢神宮付属の図書館。起源は奈良時代にさかのぼるが,現在のものは,伊勢内宮の林崎文庫(江戸初期創設)の蔵書を基礎に1873年創設された。1906年以降神宮文庫と称し,1911年外宮の豊宮崎文庫(江戸初期創設)を合わせ,1925年書庫,閲覧室などを新築。神道関係書が多く,蔵書数約24万冊。
→関連項目発心集

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神宮文庫」の意味・わかりやすい解説

神宮文庫
じんぐうぶんこ

伊勢神宮付属の図書館。伊勢市倉田山にある。神宮の旧記をはじめ神祇,文学,歴史,法制などの書籍約 24万冊を所蔵。 1873年創設,1906年現在名に改称

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