朝日日本歴史人物事典 「安本亀八」の解説
安本亀八(初代)
生年:文政9(1826)
幕末明治期の生人形師。熊本の仏師善蔵の子。同郷の松本喜三郎と競い合って,写実的な人形を美術品にまで高める努力をした。話題作の初めは,嘉永5(1852)年大坂の難波新地で興行した生人形「いろは比喩」である。明治8(1875)年には上海へ渡ってイギリス租界で約60体の人形を展示,中国大陸へ興行物を持って行った最初といわれた。15年東京で人気役者の似顔人形を見せたほか,「東海道五十三駅」や「鹿児島戦争実説」も制作した。晩年は長男に2代目を譲って亀翁と名乗った。<参考文献>安本亀八述「活人形の話」(『名家談叢』12~18号)
(倉田喜弘)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報