ハウフ(読み)はうふ(英語表記)Wilhelm Hauff

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハウフ」の意味・わかりやすい解説

ハウフ
はうふ
Wilhelm Hauff
(1802―1827)

ドイツの詩人、小説家。シュトゥットガルトに生まれる。早く父を失ってチュービンゲンに移り、その地の神学校を経てチュービンゲン大学を卒業。1824年から家庭教師を勤めるが、26年職を辞して外国とドイツ各地を旅行。27年新聞の編集者になる。この年結婚するが、ほどなく病を得て急死、25年に満たない生涯を閉じる。詩人として出発、やがて小説を書き始め、短編皇帝絵姿』『ユダヤ人ジュース』(ともに1827)、長編悪魔覚え書からの報告』(1826~27)、なかでも歴史小説『リヒテンシュタイン』(1826)によって人気作家となる。彼の作家的資質がもっともよく発揮されたのは創作童話の分野で、1826、27、28年度の『童話年鑑』としてそれぞれ発表された『隊商』『アレッサンドリア長老とその奴隷たち』『シュペッサルト宿屋』はいまなお愛読者が多い。

[関 楠生]

『塩谷太郎訳『ハウフ童話全集』全一巻(1960・弥生書房)』『藤田五郎訳『皇帝の絵姿』(1940・弘文堂)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハウフ」の意味・わかりやすい解説

ハウフ
Hauff, Wilhelm

[生]1802.11.29. シュツットガルト
[没]1827.11.18. シュツットガルト
ドイツの詩人,小説家。父に早く死なれ,テュービンゲン大学で神学を学ぶ。卒業後ヒューゲル男爵家の家庭教師となり,そこで子供たちに聞かせた童話が,童話作家としての出発となった。ロマン主義と写実主義の中間期にあたる「ビーダーマイアー」の作家。特に童話作品は世界中で愛読され,『童話年鑑 1826年』 Märchenalmanachに収められた『隊商』 Die Karawaneをはじめとする東洋に取材した 14編が有名。ほかに,風刺小説『月の中の男』 Der Mann im Monde (1826) ,E. T. A.ホフマンの影響が強い幻想小説『悪魔の覚え書』 Mitteilungen aus den Memoiren des Satans (26~27) ,歴史小説『リヒテンシュタイン』 Lichtenstein (26) などがある。

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