安見知・八隅知(読み)やすみしし

精選版 日本国語大辞典 「安見知・八隅知」の意味・読み・例文・類語

やすみしし【安見知・八隅知】

国の隅々まで知らす(治める)意、または、安らかに知ろしめす意から、「我が大君」およびその変形である「我ご大君」にかかる。
古事記(712)中・歌謡「高光る 日の御子 夜須美斯志(ヤスミシシ) 我が大君 あらたまの 年が来経れば あらたまの 月は来経ゆく」
万葉(8C後)一・三六「八隅知之(やすみしシ) 我が大君の 聞こしをす 天の下に 国はしも 多(さは)にあれども」
[補注]挙例の「万葉集」の表記からは「八隅を治める」の意が考えられるが、この表記は当時の解釈を示したものと見るべきで、原義は確かでない。なお、八方を統べ治めるという考えは中国伝来のもので、「八隅」の表記は中国の影響を受けたものかという。

やすみ‐しる【安見知・八隅知】

(上代枕詞「やすみしし」に当てた漢字の「知」を「しる」とよんでできたもの) 「我が大君」「我が天皇(すべらぎ)」にかかる。
※顕輔集(1155頃)「やすみしる我が大君の御代にこそいとど安良の里も富ぬれ」

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