朝日日本歴史人物事典 「宝田寿来」の解説
宝田寿来
生年:元文5(1740)
江戸中期の歌舞伎狂言作者。本名鈴木和八郎,金之助とも。号劇神仙。常磐津の名曲「積恋雪関扉」の作者として名高いが,天明3(1783)年から6年まで名が現れるのみ。寿阿弥の著『劇神僊話』,同じく『秀鶴草子』に書き入れた寿阿弥の「劇神仙筆記」などで断片的に履歴が知れる。これによると,斎馬雪の別称か。洒落本『二日酔巵解』(万象亭著)の天明4年3月の三桝徳次郎評の中に「作リが故一に〈中村重介か事〉,神田の隠居〈宝田寿来か事〉」とあり,2代目中村重助と比肩される作者で,当時隠居と呼ばれる立場だったらしい。なお寿阿弥ものちに劇神仙を名乗っている。<参考文献>鹿倉秀典「劇神仙考―寿阿弥を中心に―」(『近世文芸』45号)
(安田文吉)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報