宝田寿来(読み)たからだ・じゅらい

朝日日本歴史人物事典 「宝田寿来」の解説

宝田寿来

没年:寛政8(1796)
生年:元文5(1740)
江戸中期の歌舞伎狂言作者。本名鈴木和八郎,金之助とも。号劇神仙。常磐津名曲積恋雪関扉」の作者として名高いが,天明3(1783)年から6年まで名が現れるのみ。寿阿弥の著『劇神僊話』,同じく『秀鶴草子』に書き入れた寿阿弥の「劇神仙筆記」などで断片的に履歴が知れる。これによると,斎馬雪の別称か。洒落本『二日酔巵解』(万象亭著)の天明4年3月の三桝徳次郎評の中に「作リが故一に〈中村重介か事〉,神田隠居〈宝田寿来か事〉」とあり,2代目中村重助と比肩される作者で,当時隠居と呼ばれる立場だったらしい。なお寿阿弥ものちに劇神仙を名乗っている。<参考文献>鹿倉秀典「劇神仙考―寿阿弥を中心に―」(『近世文芸』45号)

(安田文吉)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「宝田寿来」の解説

宝田寿来 たからだ-じゅらい

1740-1796 江戸時代中期-後期の歌舞伎作者。
元文5年生まれ。2代中村重助,または増山金八に師事した。立作者とはならなかったが,常磐津(ときわず)「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」などで知られる。寛政8年8月17日死去。57歳。江戸出身。本姓は鈴木。通称は和八郎,金之助。別号に劇神仙(初代),閑雅。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の宝田寿来の言及

【関の扉】より

…本名題《積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)》。宝田寿来作詞。初世鳥羽屋里長,2世岸沢式佐作曲。…

※「宝田寿来」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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