客室与圧装置(読み)きゃくしつよあつそうち(その他表記)cabin pressurization system

日本大百科全書(ニッポニカ) 「客室与圧装置」の意味・わかりやすい解説

客室与圧装置
きゃくしつよあつそうち
cabin pressurization system

航空機において、室内の圧力を人間の居住に適する状態に高め、また維持する装置。航空機は気温、大気圧、酸素量の不足する高高度を飛行したり、また急速な上昇・降下によって機内の圧力が急激に変化する。そのため、この装置によって、乗客乗員の快適性を維持し、安全を保つようにしている。低圧状態または圧力変化に対する訓練をしていない乗客を多数搭乗させる旅客機にとって、不可欠の装置である。機内に送り込む空気は普通、エンジンの空気圧縮機から抜き出した高温高圧の空気を調温・調圧したうえ、外部から直接取り入れた空気と混ぜて用いる。室内の圧力調節は、機内空気が排出される場所に設けた弁(アウトフローバルブ)の開き方を加減することによって行われる。現代の大型ジェット旅客機では、飛行高度7500メートルで機内高度は地上と同じ圧力、1万2000メートルでは約2000メートルの海抜高度に相当する圧力に保つことができる。

[落合一夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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