旅客を運ぶことを目的として設計・設備された航空機(主として飛行機)。航空法では輸送機として「航空事業に使用する飛行機」と定義している。航空機としての一般的な性能(速度、航続距離、搭載量など)に加えて、旅客を安全・快適に目的地へ送り届けるための設備、つまり客室の空調・与圧装置、緊急装備(酸素装置、消火装置、脱出用スライド、救命筏(いかだ)、救命胴衣など)、食事や飲み物などの調理台、多くの窓や非常口を兼ねた出入口を設けている。また安全確保のため、エンジンを2台以上備え、そのうちの1台が停止しても離陸・上昇ができること、操縦室の主要な装置や計器類は二重に装備して、2名の操縦士が乗務し、うち1名に支障が生じても安全に操縦が続けられるようにすることなど、あらゆる面で安全の確保にとくに配慮しておくことが要求されている。また、定時性を確保するため全天候の運航や、操縦士の疲労を防ぐ装備を施し、経済性の確保には、搭載量が多く燃料消費量の少ないこと、機体構造の寿命が長く機体価格が安いこと、部品補給が容易なことなどが必要条件となる。したがってその設計には、軍用機とは違ったむずかしさがある。
[落合一夫]
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…航空会社などで使われる民間輸送機(商用機ともいう)transportと,軍で使われる軍用輸送機carrierとがある。
[民間輸送機]
民間輸送機は,主として旅客の輸送を目的とする旅客機と貨物の輸送を目的とする貨物機に大別されるが,大半は旅客機で,貨物機は旅客機として設計された機体の改造型が多い。旅客機にも一般に客室の床下に貨物室があり,乗客の手荷物のほかに貨物も積むが,貨物機は床上も貨物室とし,大型の貨物ドアをつけている。…
※「旅客機」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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