20世紀日本人名事典 「室原知幸」の解説
室原 知幸
ムロハラ トモユキ
昭和期の住民運動家 蜂ノ巣城主。
- 生年
- 明治32(1899)年9月10日
- 没年
- 昭和45(1970)年6月29日
- 出生地
- 熊本県阿蘇郡小国町
- 学歴〔年〕
- 早稲田大学政治学科〔昭和12年〕卒
- 経歴
- 家業の山林業を継ぎ、小国町議3期を経て、戦後は町の公安委員長を務めた。昭和32年建設省が筑後川治水対策の一環として熊本・大分県境に下筌(しもうけ)ダム建設を計画したが、湖底に沈む郷土・志屋集落の人々の嘆きにひかれて反対運動の先頭に。35年には巨額の私費を投じて工事阻止のバリケード“蜂ノ巣城”を築き、試掘強行の建設省側作業員と衝突、公務執行妨害で逮捕された。その後、反対派の脱落、町議会の条件つき賛成決議などで孤立、39年に建設大臣訓令で城は落ちたが、すぐ第2の砦を築くなど、13年間に約70件の訴訟を起こし、機略縦横の抵抗を示した。45年収容手続きがとられている自宅で心筋梗塞のため急死。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報