急死(読み)キュウシ

デジタル大辞泉 「急死」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐し〔キフ‐〕【急死】

[名](スル)急に死ぬこと。急逝。頓死とんし。「旅行先で急死する」
[類語]急逝頓死即死死ぬ亡くなる死する没する果てる眠るめいするたおれる事切れる身罷みまか先立つ旅立つ死去する死亡する死没する物故する絶命する絶息する永眠する瞑目めいもくする逝去せいきょする長逝ちょうせいする永逝えいせいする他界する昇天する往生おうじょうする落命する横死する憤死する夭折ようせつする夭逝ようせいする息を引き取る冷たくなるえなくなる世を去る帰らぬ人となる不帰の客となる死出の旅に出る亡き数に入る鬼籍に入る幽明さかいことにする黄泉こうせんの客となる命を落とす人死に物化まかくたばる絶え入る消え入るはかなくなる絶え果てる空しくなる仏になる朽ち果てる失命夭死臨終

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精選版 日本国語大辞典 「急死」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐じキフ‥【急死・急爾】

  1. 〘 名詞 〙きゅうじどころ(急死所)」の略。
    1. [初出の実例]「父は大事のきうじをゐられつゐにむなしく成候」(出典:浄瑠璃・大友真鳥(1698頃)二)

きゅう‐しキフ‥【急死】

  1. 〘 名詞 〙 とつぜん死ぬこと。頓死。急逝。〔和英語林集成再版)(1872)〕
    1. [初出の実例]「主人が急死したから」(出典:家族会議(1935)〈横光利一〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「急死」の意味・わかりやすい解説

急死 (きゅうし)
sudden death

元気であった人が突然に死亡することで,突然死あるいは頓死ともいう。急死はその死亡原因の由来により,外因性急死と内因性急死に分けられるが,一般に急死といえば内因性急死をさす。

体外から作用した原因による急死。絞殺や扼殺(やくさつ)などの窒息急死,刃物によって大血管や臓器が損傷され,大出血して死亡する失血急死,交通事故や災害の際に,頭部が挫砕されて生じる脳損壊による急死,やけどや感電による急死,催眠剤や農薬などの薬毒物による中毒急死などがある。

体内の原因による急死。心臓に起因する急死(急性心臓死)には,心臓の病気によるものと,心臓に死因となるような病気のない心臓の機能障害によるものがある。病気によるものとしては,心臓の冠状動脈の硬化症(冠不全),心筋梗塞(こうそく),心筋炎などがあり,心臓の機能障害を生じる原因としては,恐怖などの強い精神感動,睾丸や心窩(しんか)部(みぞおち)の強い打撃,疼痛,頸動脈洞の圧迫などがある。また,原因不明の急性心臓死といわれるものもあり,〈ぽっくり病〉とか〈ぽっくり死〉と呼ばれ,青壮年急死症候群ともいわれている。これとは別に近年問題になっている乳幼児急死があるが,これについては後述する。中枢神経系疾患には頭蓋内出血があり,これには脳卒中とか脳溢血(いつけつ)といわれる高血圧症性脳出血と特発性くも膜下出血がある。ほかに,脳軟化症,各種の脳炎や脳膜炎慢性中耳炎などから生じる脳膿瘍,頭蓋内腫瘍がある。呼吸器系疾患には肺結核があり,空洞からの出血を肺内に吸引して窒息急死したり,多量に出血して失血急死したりする。また,各種の肺炎,大きい静脈に生じた血栓が遊離して肺動脈を閉塞する肺塞栓,気管支喘息(ぜんそく)の急激な発作による心臓機能不全や気胸によっても急死する。消化器系疾患としては,胃潰瘍や胃癌の穿孔(せんこう),十二指腸潰瘍の穿孔による失血や腹膜炎,腸閉塞,急性膵臓壊死,劇症肝炎がある。その他の疾患としては子宮外妊娠や大動脈瘤があり,破裂して出血し,失血急死を生じる。このような急死が他人との争闘中におこった場合,病死なのか争闘による死亡なのかが問題となる。また,急死する際に,転倒して頭部などに外傷を生じた場合,目撃者がいないときはその外傷が他人によって生じたか,転倒して生じたか,また,外傷と死因との関係が問題となる。これらの問題を解決するためには詳細な検査が必要であり,解剖によって究明される。犯罪に起因しない死因不詳の急死死体は死因の究明のため,東京都や大阪府などのように監察医制度のあるところでは監察医によって検案,解剖される。また,監察医制度がない地方では,一般の開業医や警察の嘱託医,あるいは各大学の法医学者によって検案され,場合によっては解剖される。
検死
執筆者:

乳幼児の急死は,法医学上はとくに乳幼児急死sudden infant death(SIDと略す)として扱われる。乳幼児の急死には,(1)死亡の可能性のあるなんらかの疾患(たとえば先天性心疾患,奇形など)に罹患していて病状が急に悪化して死亡する場合と,(2)外見上健康と思われていた乳幼児,あるいは軽症疾患で死亡などはまったく予測できなかった乳幼児が,きわめて短時間内に死亡する場合に大別できる。諸外国および日本で,とくに上記(2)の乳幼児の急死(突然死)が問題になっており,急性不測死sudden unexpected death(SUD)といわれることもある。SUDは生後6ヵ月以内の乳児が大部分を占め,ことに生後1~4ヵ月の乳児に多い。頻度は欧米では乳児1000に対し1~2人で,乳児死亡の10~20%といわれ,日本の調査では乳児1000に0.5~1人の割合である。一般に男児にやや多い。母乳栄養児に比して人工栄養児に多く,出生時の体重で低体重児に多い傾向があり,季節的には冬と夏に多いが,地域差もある。死亡状況は〈寝かせていたら死んでいた〉という場合が非常に多く,crib deathあるいはcot death(ベビーベッド上の死亡)という語が使われるほどである。突然死の90~95%は睡眠中に死亡しているという報告もある。突然死の本態はまだ明らかではないが,窒息,気管支炎および肺炎などの気道感染,心疾患,過敏症などがあげられている。これらのうち,うつ伏せのものが多いことから,窒息が最も頻度が高く,寝具や衣類などによる鼻口部の偶発的な圧迫や吐物の誤嚥がその原因として考えられている。また,急死例の約1/3には死亡前1週間以内に感冒症状などなんらかの軽度の感染の形跡がみられることから,気道感染のうち,間質性肺炎が重視されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「急死」の意味・わかりやすい解説

急死
きゅうし
sudden death

頓死,突然死。一見健康に思えた人がまったく突然に死亡すること。周囲はもとより本人もそれと気づかないまま,疾患が進展していたような場合にみられる。心臓血管系統の疾患が原因とみられるものが,急死例全体の約半数を占めるが,はっきりした病因,理由などの不明なものもある。経過があまり急なため,暴力あるいは中毒による死と疑われ,法医学の対象になる場合もあり,解剖して初めて病死とわかることがある。

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