日本大百科全書(ニッポニカ) 「家庭看護」の意味・わかりやすい解説
家庭看護
かていかんご
広義には、家庭における健康管理全般から病人の世話に至るまでの活動をいうが、狭義には、医療、看護を職業としていない素人(しろうと)の家族によってなされる病人の世話をいう。看護の原点は、こうした家庭における病人や子供の世話にあったわけであるが、近年では、医療機関の発展に伴い、入院して受ける医療が増加し、看護も入院患者に対する臨床看護が主体となり、また資格を要する職業人としての看護要員がこれを担当することとなった。しかし最近、疾病構造の変化(障害児・障害者を含む慢性疾患や老人性疾患の増加と急性感染症の減少など)や医療費の高騰に伴って、在宅医療の利点や必要性がふたたび見直されるようになった。こうした反面、核家族化によって家庭看護の経験や技術をもつ者との同居生活が減り、また習得の機会も減ったため、家族構成員、とくに主婦に対する教育や指導の必要性も強くなっているのが現況である。
このため、高等学校以上での家庭看護の教育、あるいは保健師等による家庭訪問時の家族への看護知識や技術の指導(訪問看護、地域看護、入院していた者への追跡的な指導である継続看護などの活動)といった面が重要となってきている。
[平山宗宏]