入院、外来ではなく、患者の居宅で行う医療。医療者が往診、訪問し、適切な器具や薬剤を利用して治療する。代表的なものには、在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法、在宅栄養補助療法(在宅中心静脈栄養療法、在宅径管径腸栄養療法)、鎮痛用の麻薬などによる在宅注射療法、訪問リハビリテーション、訪問薬剤指導、訪問栄養指導などさまざまな種類のものがある。従来は病室で行われていた内容だが、患者の希望や便宜のために広がりつつある。
厚生省(現、厚生労働省)は1986年(昭和61)、高齢者対策として「高齢者の多くは住み慣れた地域社会のなかで家族とともに暮らしたい願望を持つので、家庭での介護機能を強化し、在宅サービスシステムを確立する」との方向性を打ち出し、1994年(平成6)には在宅医療が保険給付の対象に繰り入れられた。2006年(平成18)には在宅療養支援診療所の整備が始まった。
在宅医療は一般的には入院医療より費用がかからない。長期入院による医療費増加を懸念する厚生労働省は、関連の診療報酬の点数を上げることで在宅医療に誘導している。
[田辺 功]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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