家族性自律神経異常症

六訂版 家庭医学大全科 「家族性自律神経異常症」の解説

家族性自律神経異常症
(脳・神経・筋の病気)

 大部分がユダヤ人の家系に発症する、常染色体劣性(じょうせんしょくたいれっせい)形式をとる遺伝性の疾患です。日本では類似の報告はみられますが、典型的な本症は報告されていません。

 自律神経症状と末梢神経症状が中核になります。出生時から哺乳障害、成長障害、反復性の呼吸器感染症がみられ、自律神経障害として、起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)(起立時の失神発作)、流涙分泌(りゅうるいぶんぴつ)障害(角膜潰瘍(かくまくかいよう)を起こしやすい)、味覚障害、痛みの鈍麻(どんま)(痛みを不快な感覚とは感じない)、時に一過性の皮膚発赤(興奮時、食事時に顔面胸部、四肢に大きな紅斑が出る。血管運動神経障害による)などが現れます。

 根治的な治療法はなく、対症療法にとどまります。人工涙液での角膜潰瘍対策などです。

 4分の1の患者さんは10歳までに死亡し、半数は22歳までに死亡するとの報告があります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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