角膜潰瘍(読み)かくまくかいよう(英語表記)corneal ulcer

  • (眼の病気)
  • かくまくかいよう ‥クヮイヤウ
  • かくまくかいよう〔クワイヤウ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

角膜の欠損上皮層のみならず,さらに深部角膜実質にまで及んでいるもの。非感染性のカタル性角膜潰瘍,細菌感染による匐行性角膜潰瘍ヘルペスウイルスによる樹枝状角膜潰瘍,原因不明の蚕食性角膜潰瘍などがある。

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百科事典マイペディアの解説

外傷,角膜炎,角膜軟化などによる角膜組織の潰瘍。匐行(ふっこう)性角膜潰瘍は,小さい傷からの化膿菌感染によるもので,俗に突き目という。麻痺(まひ)性や兎眼(とがん)性の角膜炎,ビタミンA欠乏の乳幼児に起こる角膜軟化などによる潰瘍は,初めの非化膿性から化膿性に転じ,進行すると角膜を穿孔(せんこう)する。蚕食性角膜潰瘍は周辺から中央に進行する慢性の潰瘍で,原因は不明であるが老人に多い。その他,フリクテンなどでも潰瘍を生じることがあるが,一般に軽度である。治ったあとには,角膜混濁が残ることがある。
→関連項目角膜炎盲人

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家庭医学館の解説

 角膜(黒目(くろめ))が傷ついたり、抵抗力が弱まって病原微生物に感染して、角膜表面が削れ、さらに深くえぐれて灰白色の濁り(潰瘍)が生じてくるものです。感染によるものと、感染以外の原因でおこるものとがあります。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

角膜にウイルスや細菌が感染し、角膜の組織が表面から欠損していく疾患をいう。原因としてはウイルスや細菌が多く、まれに真菌(カビ)によることもある。症状は異物感、疼痛(とうつう)、結膜の充血、流涙、さらに視力が低下する。進行すると前房中に膿(うみ)がたまり、眼球全体の炎症へと進行して失明することもある。治療には、原因となった病原体を早く発見し、早期治療を開始することで、角膜混濁が残ってしまった場合には角膜移植などを行う。

[中島 章]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 角膜に発生する潰瘍。角膜が傷ついたり、病原微生物に感染して、角膜表面が削れ、深くえぐれて灰白色の濁りが生じる。感染によるものと感染以外の原因によるものとがある。〔医語類聚(1872)〕

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六訂版 家庭医学大全科の解説

どんな病気か

 前項の角膜びらんと異なり、角膜の表面の上皮だけでなく、その奥の実質にもにごったり、薄くなったりといった影響が出ている場合は角膜潰瘍といわれます。より重症であり、治ったあとも視力障害が残ります。場合によっては角膜穿孔(かくまくせんこう)といって、角膜に(あな)があいてしまうことがあり、失明に至るケースもまれにあります。

原因は何か

 外傷やいろいろな感染(ヘルペス、細菌、真菌、アメーバ)が主たる原因です。その他、自分の角膜をにごらせたり溶かしたりするような異常な免疫反応(自己免疫)によって生じる場合(蚕蝕性(さんしょくせい)角膜潰瘍)、酸やアルカリが眼に入って起こる場合(角膜化学腐蝕(かくまくかがくふしょく))、糖尿病や神経系の腫瘍(しゅよう)などで角膜の知覚神経が障害されて起こる場合もあります。

 蚕蝕性角膜潰瘍は必ず潰瘍になりますが、それ以外は、そのなかの重症例が角膜潰瘍になると理解してください。

症状の現れ方

 眼のころつき、痛み(時に激痛)、白目の充血が起こり、瞳にかかる部分に潰瘍ができると、かなり視力が低下します。涙もたくさん出ます。細菌性や真菌性の場合は、目やにがかなり多量に出ます。

 時に痛みを伴わないことがありますが、この時は角膜の神経が障害されており、かえって治りにくいのが特徴です。

検査と診断

 感染が疑われた場合は、角膜の悪い部分を少し削って、そこに細菌や真菌、ヘルペスウイルスがいないかどうか検査します。角膜の知覚の低下をみる検査や、血液検査で糖尿病や自己免疫疾患がないかを確認することもあります。

治療の方法

 感染の場合は、その原因となっている微生物に対する薬剤を点眼、眼軟膏(がんなんこう)、点滴、内服、結膜下注射(白目の部分の最表面の結膜とその下の強膜の間に薬が入るように注射する)などの方法で投与します。

 感染でない場合は、抗炎症薬を投与したり、角膜の上皮の治癒を促進するために、眼軟膏を入れて眼帯をしたり、治療用のソフトコンタクトレンズを入れたりします。

 これらの治療でどうしても治らない場合や、角膜穿孔を起こした場合は角膜移植を行う必要があります。また、うまく治った場合でも、角膜の中央に強い混濁が残って視力が不良の場合は、やはり角膜移植を行います。

関連項目

 角膜ヘルペス細菌性角膜炎角膜真菌症(かくまくしんきんしょう)アカントアメーバ角膜炎蚕蝕性角膜潰瘍角膜化学腐蝕

井上 幸次

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世界大百科事典内の角膜潰瘍の言及

【角膜】より

…最近はあまりみられない。一般細菌による角膜炎keratitis,さらに角膜潰瘍corneal ulcersは依然として多くみられるが,抗生物質の変遷とともに原因菌も変化し,緑膿菌等グラム陰性菌によるものが増加している。ウイルス疾患としては,単純ヘルペスウイルスによる角膜潰瘍が多くみられる。…

※「角膜潰瘍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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