容赦・容捨(読み)ようしゃ

精選版 日本国語大辞典 「容赦・容捨」の意味・読み・例文・類語

よう‐しゃ【容赦・容捨】

〘名〙
※志不可起(1727)「近来容赦と書く人もあり。これは偏にゆるす方也」 〔隋書‐酷吏伝・趙仲卿〕
歌舞伎・傾城仏の原(1699)一「閉門たるべし。若し少しなりとも容赦する者あらば、後日に難儀致すべし」
[語誌](1)「用捨」の意味領域の拡大によって生じた和製漢語。江戸前期の辞書「志不可起」には、「用捨」の意味が広がり、無用や辞退の意にも使用されたことが指摘されている。また本居宣長「玉勝間‐八」には「ゆるすことを、俗言に、用捨するといふは」とあり、この用法漢籍に見られる「容捨」と混用したものと指摘している。
(2)明治前期の「和英語林集成(初版)」や、「言海」、「日本大辞書」では「容赦」と「用捨」とは別語としているが、実際には、大正時代頃まで「容赦」と「用捨」は区別されずに用いられている。
(3)漢籍に見られる「容捨」の表記は広まらなかった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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