隋書(読み)ズイショ(その他表記)Suí shū

デジタル大辞泉 「隋書」の意味・読み・例文・類語

ずいしょ【隋書】

中国二十四史の一。代の歴史を記したもので、太宗の勅により魏徴・長孫無忌らが撰。636年、帝紀5巻、列伝50巻が成立。656年に「経籍志」など志30巻を編入し、全85巻。

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精選版 日本国語大辞典 「隋書」の意味・読み・例文・類語

ずいしょ【隋書】

  1. 中国の史書。八五巻。唐の太宗の時、魏徴らの奉勅撰。二十四史の一つ貞観一〇年(六三六)帝紀五巻・列伝五〇巻が成立。のち経籍志など五代史志(十志)三〇巻が編入された。隋代および南北朝後半の制度経済学芸などを知る重要な史料となっている。

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改訂新版 世界大百科事典 「隋書」の意味・わかりやすい解説

隋書 (ずいしょ)
Suí shū

中国,王朝38年間の歴史をあつかう正史。唐初,魏徴総裁として編纂がはじめられた南朝の梁・陳,北朝の北斉・北周,隋の各王朝の正史は636年(貞観10)に完成,あわせて《五代史》とよばれた。《隋書》の選述にあたったのは顔師古孔穎達(くようだつ),許敬宗たちであって,短命におわった隋王朝の歴史を教訓として生かそうとする意識が随所にみとめられる。《隋書》は元来,本紀5巻と列伝50巻のみをもって構成されたが,その後656年(顕慶1)に長孫無忌(ちようそんむき)を総裁として于志寧,李淳風,韋安仁,李延寿たちが選述にあたった《五代史志》30巻が別個に完成し,やがて《隋書》につけ加えられるにいたった。したがって〈志〉の部分には五王朝すべてに関する記事がふくまれる。あるいはときとして五王朝以前にさかのぼる記事をも含むのは,南北朝の分裂終止符をうち,天下を統一した隋王朝の意義を明らかにするためである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「隋書」の意味・わかりやすい解説

隋書
ずいしょ

中国の正史の一つ。85巻。唐の太宗の命を受けた魏徴(ぎちょう)、長孫無忌(ちょうそんむき)らが編纂(へんさん)したもので、実際の執筆者は顔師古、孔穎達(くようだつ)らである。本来は隋王朝一代の歴史記録で、「帝紀」5巻、「列伝」50巻であるが、のちにやはり太宗の命によって于志寧(うしねい)ら数人が編纂した梁(りょう)、陳、北斉(ほくせい)、北周、隋5王朝の諸制度(天文刑法など)の記録10「志」30巻(『五代史志』という)が編入され、いまの体裁巻数となった。なお、東夷伝(とういでん)倭国(わこく)条に『日本書紀』にない遣隋使の記事がある。

[中村圭爾]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「隋書」の解説

隋書
ずいしょ

隋朝の正史。唐の魏徴(ぎちょう)・長孫無忌(ちょうそんむき)ら撰。帝紀5巻・志30巻・列伝50巻の計85巻。はじめ魏徴を中心に,636年に帝紀と列伝からなる「隋書」が作られた。その後,于志寧(うしねい)・李淳風(りじゅんふう)らが梁・陳・北斉・北周・隋の制度の沿革を縦覧した志を作り,656年に長孫無忌が「五代史志」として上進した。この両者をあわせたのがいまの「隋書」で,経籍志をはじめとする志は南北朝後期の史料としても貴重。中華書局標点本がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「隋書」の意味・わかりやすい解説

隋書
ずいしょ
Sui-shu

中国,正史の一つで隋朝の歴史書。唐の魏徴長孫無忌撰。 85巻。貞観3 (629) 年成立。その志の部分には南北朝後半の記録が保存されている。

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世界大百科事典(旧版)内の隋書の言及

【正史】より

…現在24もしくは25あり二十四史,二十五史とも呼ばれる。正史の呼称は《隋書》経籍志に始まり,《史記》以前の編年体の史書を古史というのに対して使われた。10世紀以後,政府によって公認された特定の史書に正史の名が冠せられ,司馬遷の《史記》にはじまり欧陽修の《五代史記》に至る歴代17種の紀伝体歴史書を十七史とした。…

※「隋書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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