寄木張り(読み)よせぎばり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「寄木張り」の意味・わかりやすい解説

寄木張り
よせぎばり

木目(もくめ)や色彩の美しい木材、たとえば紫檀(したん)、黒檀、桜などの薄板を種々の形の小片に切り、それを組み合わせて花鳥、幾何文様などを表し、家具や建築物の内装に用いる工法ヨーロッパでは18世紀のフランスで流行した。日本ではこれに似た有名なものとして桂(かつら)離宮新御殿の桂棚があるが、現在の日本で単に寄木張りといえば一般に床仕上げに用いる場合をさすことが多い。これは、いったん粗板(あらいた)で床板を張り(これを捨て張りという)、その上に数種の木材の小片を接着材で貼(は)り合わせ床面を仕上げる工法で、各種床仕上げのなかでも最高級に属するものとされ、高級邸宅の床仕上げにしばしば用いられる。

[山田幸一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の寄木張りの言及

【床】より

…西洋建築では寝室は上階に設けられるのが通例であり,石造,煉瓦造,木造を問わず2階の床は木材で支持される場合が大半であるので,寝室などの床は構造上からも板張りとなることが多かった。板張りの床は,長い床を張る形式と,そうした荒床の上に小さな板を組み合わせて張る寄木張りの形式とが主たる方法となる。このうちの寄木張りは,木材の種類,色合いを選ぶことによって,きわめて変化に富む装飾的効果を生み出すことができる。…

※「寄木張り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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