精選版 日本国語大辞典 「床」の意味・読み・例文・類語
とこ【床】
(2)床は一段高い所で、その上段の間には押板がつけられるのが普通であったが、茶室の発生とともに、上段と押板が縮小されて一つになり、今日いう⑦の「床の間」となった。
ゆか【床】
ゆかし【床】
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翻訳|floor
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建築空間の下部にあって,その上に人がのり,物を置き,種々の生活を繰り広げる目的で設けられる水平な面をいう。屋根,壁などとともに,生活のための空間を直接つくりあげているもっとも基本的な建築の一要素といえる。屋内にあるものに限って床という場合もあるが,現代の建築学では,屋内外を問わず,前述の定義に合致するものを床としてとらえるのが一般的である。また,水平な面とはいっても,なかには水はけのためにわずかな傾斜がつけられることもあり,さらに,水平な面とはいえないが,その機能に共通する点が多いところから,斜路や階段を床の一種とみる場合もある。
現代の床はきわめて多種にわたるが,床の構造材料(床全体の荷重を支えている部分の材料)に着目すれば,大半の床は,木造床,鉄骨造床,鉄筋コンクリート造床のいずれかに含まれる。以下,この区分ごとに,代表的な構成と仕上げについて述べる。
木造床は,通常,根太(ねだ)や床梁(ゆかばり),大引(おおびき)などと呼ばれる部材で支持部分が構成される。この場合その部分が根太のみで構成されているものを根太床(単床(たんしよう)),根太の下をさらに床梁で支えてあるものを梁床(複床)といい,梁床のうち,梁として大梁と小梁が組まれているものをとくに組床という。また,これら支持部分が,木造住宅の1階床などにみられるように,地面から床束(ゆかづか)で支えられているものを束立て床(図a)といい,コンクリート系の床版などの上に直接置かれているものを転ばし床(図b)という。このような木造床の仕上げ方としては,根太の上に縁甲板(えんこういた)などを張ってそのまま仕上げとするものや,板や合板を張った上に,プラスチック系のシートやタイルをはったり,じゅうたんや畳を敷いて仕上げとするものなどがある。
鉄骨造床は,H型鋼などの鉄骨の梁で床を支持するものが多い。上にのる床の構成としては,鉄骨の根太を組み,縞鋼板などを張る比較的軽微な床もあるが,ビルの床などに通常用いられるのは,梁の上にコンクリート系床版をのせるものである。床版には,プレキャストコンクリート板,ALC板(軽量気泡コンクリート板)などのほか,デッキプレート(波形をした床鋼板)をのせ,上にコンクリートを打設して床版をつくるもの(図c)などもある。これらの床板の仕上げ方は,鉄筋コンクリート造床とほぼ同じである。
鉄筋コンクリート造床は,床版までが軀体と一体につくられることが多い。また,地面の上に直接床版がつくられることもあるが,これは土間コンクリート床といわれる。この上の仕上げ方には,モルタル,プラスチック系シート・タイル,陶磁器タイル,石などで直接仕上げるものと,床版の上に木造の転ばし床などを組んで二重の床とし,木造と同様の仕上げを施すものとがある。後者は,集合住宅の床などによく用いられる。
床であるからには,その機能や性能として,(1)人や物の重量を支えるに足る構造強度があること,(2)他の空間との仕切りとして,熱や音などを十分遮断できるものであること,(3)人がその上で繰り広げる種々の生活に直接対応する適切な性質が備わっていることの3点が必要である。(1)については,単に上にのるものの重さに耐える強度以外にも,建物全体の構造形式によっては,水平剛性(水平方向に変形しない強度)が求められることもある。コンクリート系の床版は,このような役割をも果たすものであることが多い。(2)については,外部に面することになる最上階の床や最下階の床ではとくに重要な性質である。すなわち,外の温度変化や騒音,あるいは水や湿気などを十分に遮断し,壁などとも協同して,快適な屋内環境をつくり出す役目を担わなければならない。しかし,中間階の床であっても,たとえば上階の音を十分遮断できるものであるかどうかは深刻な問題である。(3)については,床を使う目的によって,それぞれ違った性質が必要となる。たとえば,水がかかる床では,当然のことながら耐水性や防水性が求められる。靴を履いたままで利用する床では,すべりにくさ,汚れにくさ,摩耗のしにくさなどが重要であり,素足やそれに近い状態で使う床では,このほか,冷えず,適度な吸湿性があり,感触のよい床であることなどが必要である。また,このような一般の床以外に,その目的から,特殊な性質が求められる床もある。たとえば,体育館や柔道場では,適度な弾力性が必要であるため,スプリングなどを入れた防振床が使われることがあり,放送スタジオでは,外の音が伝わるのをできるだけ防ぐために,浮き床といって,クッション材で浮かせた床にすることが多い。また,電算機室では,複雑な配線を床下に納められるように,フリーアクセスフロアと呼ばれる二重床がつくられることがある。先に述べた床の構成や仕上げは,現実の設計の場合には,このようなさまざまな機能や性能が十分に発揮できるよういろいろとくふうされるわけである。
執筆者:直井 英雄
日本の伝統的建築においては,地盤面からある高さを保ってつくられた生活面をいう。〈ゆか〉の語源ははっきりしない。漢字の〈床〉は本来は寝床の意味であり,〈ゆか〉にこの字が当てられた経緯もはっきりしないが,文献では平安時代から〈床=ゆか〉とされたようである。床の意味はいろいろな用例から判断すると,高床の建物の板敷を意味したものと考えられる。高床は弥生時代からみられ,神社建築は古代から高い床を張っていたが,古代の寺院は土間が基本であった。庶民住宅も奈良時代までは床を張らず,東北地方などでは〈土間ずまい〉が後世まで続いた。住宅において床を張ることは貴族住宅などを中心にゆっくりと広がっていったのである。
古代の床は厚さ4~6cmの厚い板を柱の間に渡した台輪か桁に直接掛け渡したが,16世紀ころから大引と根太で床の骨組みをつくり,1.5~3cmくらいの薄板を使うようになる。また同時期ころから二階の床を同じような手法でつくるようになり,二階建ての建築がみられるようになる。特殊な床としては縁などに角材を間をすかせて並べて張るものがあり,浜床(はまゆか)と呼ばれた。16~18世紀の民家では,床板をつくるのがたいへんなことから,竹の簀の子を根太に編み付けて床にしたものが全国的にみられた。
→床(とこ)
執筆者:鈴木 充
西洋建築において,床とは建築物の底面をいう。その意味で,日本の建築について〈床を張ってある部屋〉〈床を張らぬ土間〉などと称するときの床と,西洋建築の床とは同じものではないと考えられよう。
西洋では多くの場合,室内で靴を脱ぐ習慣がないため,屋外の地面から建築物の床にまで歩み入る際,本質的に床張りの室内と戸外との差はない。もっとも原始的な床が土であることは洋の東西を問わないが,ギリシアの神殿では大理石の切石が敷きつめられて床をつくっており,ローマ時代の建物では天然コンクリート造の床をモザイクで飾ることが行われた。宗教建築や記念建造物においては切石を敷く方法とモザイクによる装飾とが,床をつくり上げる二つの技法として現在に至るまで生きつづけている。切石を何種類もの石を用いて構成し,その目地のパターンを複雑にすると,この方法はモザイクに近づいていく。中世の教会堂の床面の美しい例としては,イタリアのシエナ大聖堂の作例(12世紀)が有名である。屋外の広場ではあるが,ミケランジェロ設計ローマのカンピドリオの広場の切石によるパターンも,西洋の床のデザインの伝統を示す作例として興味深い。
一方,住宅や宮殿などでは,板張りの床(木造床)も古くから用いられていたと考えられる。弾力をもち,表面温度の下がりにくい板張りの床は,居住性を重視するときには,きわめて望ましい床であった。西洋建築では寝室は上階に設けられるのが通例であり,石造,煉瓦造,木造を問わず2階の床は木材で支持される場合が大半であるので,寝室などの床は構造上からも板張りとなることが多かった。板張りの床は,長い床を張る形式と,そうした荒床の上に小さな板を組み合わせて張る寄木張りの形式とが主たる方法となる。このうちの寄木張りは,木材の種類,色合いを選ぶことによって,きわめて変化に富む装飾的効果を生み出すことができる。しかし,この技法は床に特有なものではなく,壁面仕上げとしても同様に用いられる。この点は石張りの技法についてもいえるところで,材料の厚みや強度を無視すれば,西洋建築における床の仕上げは,壁の仕上げと基本的には共通するものである。西洋建築の室内空間は,床と壁という共通した技法による構成要素からなる箱に天井というふたをしたものであるか,あるいはプラスター仕上げの壁をもつ室内などのように,天井と壁が共通した技法による構成要素となり,そこに床という底をつけたものであるかの,いずれかとして考えられる。したがって,床の表現はもっぱら仕上げの方法を通じてなされ,日本建築におけるように,微妙な床の高低差が社会的序列を示すという傾向は比較的少ない。じゅうたんを敷くとか一段高い段を設けるという手法は,床仕上げの一種あるいは床の上に家具的な装置をもち込む手法だと考えられ,そこにかえって,西洋建築における床は室内の底面にとどまるという本質をみることができる。
執筆者:鈴木 博之
舞台用語としては,文楽や歌舞伎で浄瑠璃の太夫,三味線奏者が演奏する場所をいう。狭義には義太夫節の場合に限って使われる。文楽の場合には舞台の上手から斜めに客席のほうへ張り出した形に設けられ,舞台面より一段高く(約40cm)なっている。床面のほぼ中央に直径約2mの回り舞台のような盆が切られてあり,真ん中に両面張りの衝立(ついたて)を置いて前後に仕切り,盆を回すことによって演奏者の交代を行う。衝立の上にはほぼ同じ幅の窓に御簾(みす)が掛けられ,その内側は2階になっていて〈御簾内〉と呼び,若手の太夫,三味線奏者の修業の場として使われる。歌舞伎の義太夫(竹本)の場合は上手大臣囲いの上にある御簾の中が本来の床であるが,出語りのときには下の揚幕の位置に文楽の床に準じた形の床を設けることが多く,また御簾を巻き上げて姿を見せることもある。常磐津や清元の出語りは,通常,舞台上の一段高い台の上に並ぶので〈山台〉と呼ばれる。
執筆者:山田 庄一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
建築空間の下方を区画する部位をいい、人間はこの上面でもろもろの生活活動を営むことになるので、床は自重のみならず、その上にのる人や器具の重量(積載荷重)を安全に支える構造でなければならない。床のもっとも簡単なものは地盤面をそのまま床面とし、またはこれに密着して床を設定する場合である。古代の竪穴(たてあな)住居の床は前者、三和土(たたき)でたたき固めた床は後者の例で、これらは土間床と総称される。現在、土間床をつくる場合は割栗(わりぐり)地業などによって地盤を固め、必要に応じて防水処理を施し、その上にコンクリートを打設し各種の仕上げをする。しかし、床のもっとも一般的な形は、地盤から離して桁(けた)、梁(はり)、根太(ねだ)などの横架材を縦横に組み合わせて床組みをつくり、その上に水平に床板を張るものである。床組みは木骨または鉄骨もしくはその併用により、床板は木材のほか各種成型板(プレキャストコンクリート版、軽量コンクリート版など)、鉄板またはそれを溝形に加工し、そこへコンクリートを埋めるようにしたものも用いられる。なお床を鉄筋コンクリートとしたものをとくに床版(ゆかばん)(スラブslab)とよんでいる。スラブをも含めて床組みを組む場合、床は単に生活空間の場を提供して荷重を支えるだけでなく、躯体(くたい)(建物の本体)を水平に緊結する重要な構造部材でもある。
[山田幸一]
床組みは1階床と2階以上の床とでは多少構造が異なる。1階床の場合、床板は一定間隔(木造の場合は45センチメートル以下)に横架された根太の上に張るが、根太のスパン(支点間の距離)が大きくなるときは、その下をこれと直交する大曳(おおびき)(大引)で受け、地盤上に置いた玉石(たまいし)(人頭大の自然石。現在ではれんが、コンクリートブロックなどを用いることが多い)の上に立てた束でさらにこれを受ける。一階床の仕上げ面までの高さは45センチメートル以上とし、かつ床下は密閉せず通風をよくすることを建築基準法で規定しているが、もとよりこれは湿気を嫌うためで、日本のような気象条件の下では当然の処置である。1階以外の床組みでも床板と根太との関係は1階床と変わらないが、大曳にあたる材は梁とよぶ。しかし、この場合は梁を束で支えられないので、さらにその下に大梁または桁を直交させてこれを受ける。大梁などを用いるときは元の梁をとくに小梁という。コンクリートスラブの上に根太を固定し、その上に床板を張るものは転(ころ)ばし根太とよぶ。転ばし根太の床は仮小屋などで一時的な床を設けるときにも応用され、この場合は地表に根太にあたる材料を横たえ、それに床板を打ち付けるだけである。
[山田幸一]
床版は、その表面をそのまま仕上げ面とする場合と、その上に畳、じゅうたんなどを敷き、あるいは寄木(よせぎ)やフローリングブロックを張るなど仕上げ材を別に用いる場合とがある。床一般の性格から摩耗が少なく清掃が容易でかつ美麗なもののよいことはいうまでもないが、その床の使用法によっておのずから強く要求される性質がある。たとえば洋風建築では土足のままの使用が多いので耐摩耗性がとくに必要で、水洗可能なものが求められることもあるが、和風住宅では脱靴するのが普通であるから、耐摩耗性よりもむしろある程度弾力性に富み肌ざわりのよいものが要請される。前者に適合したものとしてコンクリートまたはセメントモルタル、タイルまたはモザイクタイル、石張りまたは人造石とぎ出し(テラゾー)などがあり、後者に最適のものとして畳がある。板張り、カーペット、ゴムタイル、リノリウム、合成樹脂タイルなどはその中間的な存在である。
特殊な床として、体育館などでは振動を躯体に伝えないための振動吸収床、病院の手術室などでは静電気の滞留を防ぐための電導床などが要求される。また床組みまたはコンクリートスラブの中にあらかじめ温水用配管などを組み込んでおき、床面全体を暖房するくふうも古くから行われている。
[山田幸一]
世界各地とも床は地表またはそれを掘った土間床に始まるのが普通で、ときにその表面に石を敷いたり石灰プラスターを塗ったりしているが、生活水準の向上と建築技法の進歩により床は漸次地表より上に設けられるようになる。とくに日本のように多湿の地域では床を地盤より離し床組みを組む構造が早くから行われている。香川県出土と伝えられる銅鐸(どうたく)(1~2世紀)や奈良県の佐味田(さみだ)宝塚古墳出土家屋文鏡(4世紀後半)に鋳出された家屋図には、すでにそのような高床をもつ建物がみられ、登呂(とろ)遺跡では一般住居は竪穴式であっても穀倉にはやはり高床式板校倉(あぜくら)の用いられていたことが知られており、造り替えが繰り返されているとはいえ、伊勢(いせ)神宮正殿も同様である。このような高床はその後の日本建築の一つの伝統様式となり、ついには桂(かつら)離宮殿舎のような造型を完成した。このように土間床と早く決別したところでは脱靴・座式の生活が行われるが、低湿または寒冷の地域では床を地盤から上に離しても土間床の形式が踏襲され、ここでは土足・椅子(いす)式の生活が行われる。西洋のみならずアジア大陸、とくに黄河流域以北では現在でもおおむねこの形式である。日本へも中国から基壇を高く築いた土間床、椅子式の建築様式が伝えられたが、これは寺院や宮殿(大極殿(だいごくでん)など公式行事を行うところ)には採用されても、生活に直結する住宅形式までは変えられず、寺院においてすらのちには床がつくられ、宮廷でも天皇以下の私的な生活空間である内裏(だいり)の建物(紫宸殿(ししんでん)など)は高床に終始してきた。日本で椅子式の生活が行われるのはもとより明治以降で、それも公的生活面に限られ、住宅にまで浸透し始めるのはようやく第二次世界大戦以降のことである。床材料は竪穴住居の名残(なごり)の強い時代では土間に草、藁(わら)などを敷いたものと思われ、『貞観(じょうがん)儀式』(872成立)にみる大嘗宮(だいじょうきゅう)では束草(つかくさ)、竹簀子(たけすのこ)、蓆(むしろ)を重ねることになっているが、その後はすべて板敷きとなった。畳は鎌倉時代の絵巻物にまず高貴の人の座として板床の上に部分的に置かれる置き畳として現れ、室町末期ごろから部屋内いっぱいに敷き詰められることになり現在に至っている。そのほか寺院の土間床に敷き瓦(がわら)(タイル)などの用いられた例はあるが、他の床仕上げ材、たとえばカーペット、リノリウムなどの用いられるのはもとより西欧文明導入以降のことであり、合成樹脂タイルは第二次大戦後の発明である。
[山田幸一]
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出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報
…いかだの組み方は,伐木の大小,河況に応じ,構造を異にするが,一般的には,丸太材7~8本を並べ,藤蔓で結束する(のちには,マンリキなどとよぶ環のついた楔形鉄片を打ち込む方法も用いた)。いかだ1枚を1床とか1房といい,2~4枚ほどを1列縦隊に並べる。いかだの大きさにもよるが,およそ2~3人乗りで,それぞれ前からサキノリ(あるいはヘノリ,ハナノリともいう),ナカノリ,アトノリ(トモノリともいう)といい,サキノリは熟練者が当たった。…
…その四畳半は,書院から完全に脱皮した草庵の構造と意匠を示すにはいたっていなかったが,茶の湯の本質を建築的に表現しえていたことは確かである。伝書に記された紹鷗四畳半は,北向で上り口に簀の子縁(すのこえん)がつき,檜柱(ひのきばしら)で白の張付壁,天井はノネ板張りで高さ7尺1寸,間口1間に深さ2尺3寸の床を構えていた。そして小壁がいくらか高く,鴨居内法高(うちのりだか)を通常より低くしていた。…
…社寺建築の大部分は一階であって,二階のあるものは門,鐘楼などを除けばごく少なく,三階以上は塔以外にはない(図1)。
【各部分の構造】
社寺建築はまず基壇を築き,礎石をすえ,柱を立て,貫でこれをつなぎ,上に組物を置いて桁,梁を渡し,垂木(たるき)をかけ,屋根を葺き,いちおう雨のかからぬようにしてから,壁,窓,出入口をつくり,床,天井を張り,建具を入れ,装飾を施す。
[基壇]
神社建築では古くは基壇を設けず,礎石もない掘立柱であったが,飛鳥時代に大陸の建築様式が伝来してからは,宮殿,仏寺などは基壇を設け,神社建築もこれにならうようになった。…
…一つは通風に頼るもので開放的なつくりとなる。東南アジアに広く分布する高床住居(杭上住居)は,湿気の高い地表面から床面を離し,床下からの通風が耐暑の役割を果たす。しばしば竹床が用いられ,すきまをあけて張るようにされている。…
…これは雨から壁や縁をまもるためでもあり,また暑い季節,雨の降っているときでも,戸をあけておくために必要であった。建物の内部には床(ゆか)が張られる。床はすでに古代初期には一般的に行われており,奈良時代の後半からしだいに仏教建築にも入っていった。…
…初期の人形浄瑠璃では太夫と三味線は幕の陰で語っていたが,1705年(宝永2)大坂竹本座の《用明天王職人鑑》から出語り出遣いが始まったといわれる。現在の文楽では,ごく短い端場を除いて出語りが主となっており,演奏者は舞台上手(右)にしつらえた床(ゆか)に座し,肩衣を着用する。出語りでない場合は床の上部の御簾(みす)の陰で語るので〈御簾内(みすうち)〉と呼ぶ。…
※「床」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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