床
ゆか
floor
建築空間の下方を区画する部位をいい、人間はこの上面でもろもろの生活活動を営むことになるので、床は自重のみならず、その上にのる人や器具の重量(積載荷重)を安全に支える構造でなければならない。床のもっとも簡単なものは地盤面をそのまま床面とし、またはこれに密着して床を設定する場合である。古代の竪穴(たてあな)住居の床は前者、三和土(たたき)でたたき固めた床は後者の例で、これらは土間床と総称される。現在、土間床をつくる場合は割栗(わりぐり)地業などによって地盤を固め、必要に応じて防水処理を施し、その上にコンクリートを打設し各種の仕上げをする。しかし、床のもっとも一般的な形は、地盤から離して桁(けた)、梁(はり)、根太(ねだ)などの横架材を縦横に組み合わせて床組みをつくり、その上に水平に床板を張るものである。床組みは木骨または鉄骨もしくはその併用により、床板は木材のほか各種成型板(プレキャストコンクリート版、軽量コンクリート版など)、鉄板またはそれを溝形に加工し、そこへコンクリートを埋めるようにしたものも用いられる。なお床を鉄筋コンクリートとしたものをとくに床版(ゆかばん)(スラブslab)とよんでいる。スラブをも含めて床組みを組む場合、床は単に生活空間の場を提供して荷重を支えるだけでなく、躯体(くたい)(建物の本体)を水平に緊結する重要な構造部材でもある。
[山田幸一]
床組みは1階床と2階以上の床とでは多少構造が異なる。1階床の場合、床板は一定間隔(木造の場合は45センチメートル以下)に横架された根太の上に張るが、根太のスパン(支点間の距離)が大きくなるときは、その下をこれと直交する大曳(おおびき)(大引)で受け、地盤上に置いた玉石(たまいし)(人頭大の自然石。現在ではれんが、コンクリートブロックなどを用いることが多い)の上に立てた束でさらにこれを受ける。一階床の仕上げ面までの高さは45センチメートル以上とし、かつ床下は密閉せず通風をよくすることを建築基準法で規定しているが、もとよりこれは湿気を嫌うためで、日本のような気象条件の下では当然の処置である。1階以外の床組みでも床板と根太との関係は1階床と変わらないが、大曳にあたる材は梁とよぶ。しかし、この場合は梁を束で支えられないので、さらにその下に大梁または桁を直交させてこれを受ける。大梁などを用いるときは元の梁をとくに小梁という。コンクリートスラブの上に根太を固定し、その上に床板を張るものは転(ころ)ばし根太とよぶ。転ばし根太の床は仮小屋などで一時的な床を設けるときにも応用され、この場合は地表に根太にあたる材料を横たえ、それに床板を打ち付けるだけである。
[山田幸一]
床版は、その表面をそのまま仕上げ面とする場合と、その上に畳、じゅうたんなどを敷き、あるいは寄木(よせぎ)やフローリングブロックを張るなど仕上げ材を別に用いる場合とがある。床一般の性格から摩耗が少なく清掃が容易でかつ美麗なもののよいことはいうまでもないが、その床の使用法によっておのずから強く要求される性質がある。たとえば洋風建築では土足のままの使用が多いので耐摩耗性がとくに必要で、水洗可能なものが求められることもあるが、和風住宅では脱靴するのが普通であるから、耐摩耗性よりもむしろある程度弾力性に富み肌ざわりのよいものが要請される。前者に適合したものとしてコンクリートまたはセメントモルタル、タイルまたはモザイクタイル、石張りまたは人造石とぎ出し(テラゾー)などがあり、後者に最適のものとして畳がある。板張り、カーペット、ゴムタイル、リノリウム、合成樹脂タイルなどはその中間的な存在である。
特殊な床として、体育館などでは振動を躯体に伝えないための振動吸収床、病院の手術室などでは静電気の滞留を防ぐための電導床などが要求される。また床組みまたはコンクリートスラブの中にあらかじめ温水用配管などを組み込んでおき、床面全体を暖房するくふうも古くから行われている。
[山田幸一]
世界各地とも床は地表またはそれを掘った土間床に始まるのが普通で、ときにその表面に石を敷いたり石灰プラスターを塗ったりしているが、生活水準の向上と建築技法の進歩により床は漸次地表より上に設けられるようになる。とくに日本のように多湿の地域では床を地盤より離し床組みを組む構造が早くから行われている。香川県出土と伝えられる銅鐸(どうたく)(1~2世紀)や奈良県の佐味田(さみだ)宝塚古墳出土家屋文鏡(4世紀後半)に鋳出された家屋図には、すでにそのような高床をもつ建物がみられ、登呂(とろ)遺跡では一般住居は竪穴式であっても穀倉にはやはり高床式板校倉(あぜくら)の用いられていたことが知られており、造り替えが繰り返されているとはいえ、伊勢(いせ)神宮正殿も同様である。このような高床はその後の日本建築の一つの伝統様式となり、ついには桂(かつら)離宮殿舎のような造型を完成した。このように土間床と早く決別したところでは脱靴・座式の生活が行われるが、低湿または寒冷の地域では床を地盤から上に離しても土間床の形式が踏襲され、ここでは土足・椅子(いす)式の生活が行われる。西洋のみならずアジア大陸、とくに黄河流域以北では現在でもおおむねこの形式である。日本へも中国から基壇を高く築いた土間床、椅子式の建築様式が伝えられたが、これは寺院や宮殿(大極殿(だいごくでん)など公式行事を行うところ)には採用されても、生活に直結する住宅形式までは変えられず、寺院においてすらのちには床がつくられ、宮廷でも天皇以下の私的な生活空間である内裏(だいり)の建物(紫宸殿(ししんでん)など)は高床に終始してきた。日本で椅子式の生活が行われるのはもとより明治以降で、それも公的生活面に限られ、住宅にまで浸透し始めるのはようやく第二次世界大戦以降のことである。床材料は竪穴住居の名残(なごり)の強い時代では土間に草、藁(わら)などを敷いたものと思われ、『貞観(じょうがん)儀式』(872成立)にみる大嘗宮(だいじょうきゅう)では束草(つかくさ)、竹簀子(たけすのこ)、蓆(むしろ)を重ねることになっているが、その後はすべて板敷きとなった。畳は鎌倉時代の絵巻物にまず高貴の人の座として板床の上に部分的に置かれる置き畳として現れ、室町末期ごろから部屋内いっぱいに敷き詰められることになり現在に至っている。そのほか寺院の土間床に敷き瓦(がわら)(タイル)などの用いられた例はあるが、他の床仕上げ材、たとえばカーペット、リノリウムなどの用いられるのはもとより西欧文明導入以降のことであり、合成樹脂タイルは第二次大戦後の発明である。
[山田幸一]
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とこ【床】
〘名〙
① 人の座する台。高さ一尺くらいで土間に用いる。
※新撰字鏡(898‐901頃)「

止己」
※延喜式(927)三四「牀〈長八尺、広五尺、高一尺三寸、厚二寸四分〉長功十人」
※古事記(712)中・歌謡「をとめの 登許(トコ)のべに 我が置きし つるぎの太刀 その太刀はや」
※源氏(1001‐14頃)末摘花「心やすきひとりねのとこにてゆるひにけりや」
③ ふとんを敷いたねどこ。また、男女の共寝。
※評判記・野郎虫(1660)伊藤古今「床(トコ)にいりての後は、あぢものじゃといふ」
④ ゆか。
※読本・雨月物語(1776)蛇性の婬「然(さて)見るに、女はいづち行けん見えずなりにけり。此床(トコ)の上に輝輝(きらきら)しき物あり」
⑤ 畳
(たたみ)のこと。
現代では畳の心
(しん)を、畳表と区別していう。
※大乗院寺社雑事記‐寛正三年(1462)一月一三日「長床二帖」
⑥ 牛車(ぎっしゃ)の人の乗る所。車の床。車箱(くるまばこ)。
※三代実録‐貞観一七年(875)九月九日「吾欲レ令二此牛不一レ行、乃以レ手拠二車床一、閉レ気堅坐不レ動」
※玉塵抄(1563)一一「軸の物と云が座敷のかざりに床(トコ)の上に台にのせておかるるぞ」
⑧ 桟敷(さじき)。涼みどこ。
※俳諧・己が光(1692)四条の納涼「夕月夜のころより有明過る比まで、川中に床をならべて、夜すがらさけのみものくひあそぶ」
⑨ 葭簀(よしず)ばりにゆかを張るなどして、常時は人の住めない簡単な店。渡船場などの休息所。とこみせ。
※
浄瑠璃・鑓の権三重帷子(1717)下「床
(トコ)の陰に身を潜め、甚平が爰に有からは、市の進も此辺にゐらるるはひつぢゃう」
⑩ (以前は「とこみせ」程度であったところから) 髪結床
(かみゆいどこ)。
床屋。
※浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)三「床(トコ)の衆今日のお払ひ者いかふ遅うござるの」
⑪ 和船の最後部の船梁で、舵(かじ)を保持する床船梁(とこふなばり)の略称。〔和漢船用集(1766)〕
⑫ 犂(からすき)の底の地面にふれる部分の名称。いさり。〔訓蒙図彙(1666)〕
[語誌](1)元来、土間に用いられた①が、住宅・寺院が板敷になるに伴ってその上に置かれ、
室町時代には⑤のように畳を意味するようにもなった。
(2)床は一段高い所で、その
上段の間には
押板がつけられるのが普通であったが、茶室の発生とともに、上段と押板が縮小されて一つになり、今日いう⑦の「
床の間」となった。
ゆか【床】
〘名〙
① 家の中に、一段高く構えてあって、人が起き臥しするところ。とこ。また、勤行などのために一段高く構えたところ。中古では特に、浜床(はまゆか)など。
※書紀(720)神代下(鴨脚本訓)「海神聞きて曰はく、試みに以て察むといひて乃ち三床(ユカ)を設けて請入(いりま)さしむ」
※源氏(1001‐14頃)蛍「ゆかをば譲りきこえ給ひて、御几帳引き隔てて
大殿籠る」
② 建築で、根太などによって、地面から高く平面に板などを張りわたして、人がすわったり歩いたりする所。その上に畳などを敷く板張りをもいう。また、広く、室内や廊下などで、人の立ったり歩いたりする底面をいう。
※俳諧・新花摘(1784)「床低き旅のやとりや五月雨」
③ 劇場などで、浄瑠璃太夫が浄瑠璃を語り、
三味線弾きが三味線を弾く場所として設けられる高座。ちょぼ床。
※浮世草子・当世乙女織(1706)四「浄瑠璃は年来筑後がひざをはなれず、ゆかを勤る者にて候へば」
④ 夏、河原の上に、茶屋・料理屋などが張り出した納涼用の桟敷。特に、京都の二条大橋から四条大橋あたりまでの間の賀茂川のものや、貴船川のものが有名。《季・夏》
※浮世草子・島原大和暦(1683)三「やまとばしより松ばらどをりのすこし上まで、かはらにゆかをならべて」
ゆか
し【床】
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デジタル大辞泉
「床」の意味・読み・例文・類語
ゆか【床/×牀】
1 建物の内で、根太を立て、地面より高く板を張った部分。そのままで、また畳や敷物などを敷いて生活する。また、広く建物の内で、人の立ったり歩いたりする底面。
2 劇場で、義太夫節の太夫と三味線弾きが座る所。舞台上手に常設または仮設される。歌舞伎ではチョボ床ともいう。
3 京都の鴨川沿いの茶屋で、座敷から川原へ張り出してつくった納涼用の桟敷。川床。《季 夏》
4 (ふつう「ゆか」と書く)体操競技の「床運動」の略。
5 家の中で、一段高く作った所。寝所などにする。
「―の下に二人ばかりぞ臥したる」〈源・空蝉〉
[類語]階・フロア
しょう〔シヤウ〕【床/×牀】
[名]室内の板を張った所。ゆか。「―に臥せる」
[接尾]助数詞。病院などで病人用のベッド数を数えるのに用いる。
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床
ゆか
floor
建物の中で人が歩行したりすわったりするための部分。原始時代の住居では土間のままで,特別に床を設けることはなかった。西洋や中国の建築では,この土間形式のまま発達してきたため,土から切り離した床ができてからも人々は履物のまま建物の内部に入り,椅子や寝台を利用して生活し,床に対する意識は弱い。日本では奈良時代になって,上流階級の住宅に床を上げて板張りとし,履物を脱いで床に上がり,すわったり寝たりする生活が定着した。しかし,古くは床がほとんどが板張りのままで,畳はその一部分だけに用いた。畳を全体に敷きつめるようになったのは室町時代に入ってからである。
床
ゆか
人形浄瑠璃 (文楽) や歌舞伎の義太夫狂言で,義太夫節の語り手 (太夫) と三味線演奏者がすわる場所。普通は上手 (舞台に向って右) に,客席に向って斜めに設けられ,背後についたてが立てられている。演奏者は交替する際,丸く切った回転式の装置に乗って背後から現れる。この形式のほかに,上手上部のすだれのかかった場所 (御簾内〈みすうち〉) も床と呼んでいる。また舞台上の人形に対し,演奏者の太夫や三味線のことを床ともいう。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
床【ゆか】
歌舞伎・人形浄瑠璃用語。主として義太夫節の演奏される場所で,人形浄瑠璃の場合は上手(かみて)(右側)から客席に張り出して作られ,歌舞伎では舞台上手の一部に作られる小高い台をいう。転じて,ここで演奏する太夫・三味線ひきの通称。また舞踊劇で清元節,常磐津節など,浄瑠璃の出語りで演奏される場所も同じく床と呼ぶ場合もある。
→関連項目ちょぼ
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床
舞台上手に設けられた太夫と三味線が演じる高座。演者を指す場合もある。白湯(さゆ)汲みは、床にいる幹部級太夫の脇に白湯を届けた際に側に座って芸を聞き、勉強する。将来性ある若い弟子が選ばれる。
出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報
ゆか【床/牀】
建物の中で、人がのったり物を置いたりする水平な面。
出典 講談社家とインテリアの用語がわかる辞典について 情報
とこ【床】
日本古代の住宅で,周囲の平らな床(ゆか)より一段高くなった人の座る場所。畳や衾(ふすま)を敷いたものらしい。寝場所も同じ形式であったところから,寝所の意味にも使われ,〈ねどこ〉〈とこを敷く〉など,一般的な用法として広く使われている。また人の座を下で支える部分という意味から,田の床,畳床などのように,下地にあって表装を支えるものも床と呼ばれることが多い。室町時代以降の上層住宅においては,貴人の座として床(ゆか)を柱幅ほど高くした上段や,帳台を意味したようであり,上段の押板が床の間に変化するのに伴って,床の間の略語としても使われている。
ゆか【床 floor】
建築空間の下部にあって,その上に人がのり,物を置き,種々の生活を繰り広げる目的で設けられる水平な面をいう。屋根,壁などとともに,生活のための空間を直接つくりあげているもっとも基本的な建築の一要素といえる。屋内にあるものに限って床という場合もあるが,現代の建築学では,屋内外を問わず,前述の定義に合致するものを床としてとらえるのが一般的である。また,水平な面とはいっても,なかには水はけのためにわずかな傾斜がつけられることもあり,さらに,水平な面とはいえないが,その機能に共通する点が多いところから,斜路や階段を床の一種とみる場合もある。
ゆか【床】
舞台用語としては,文楽や歌舞伎で浄瑠璃の太夫,三味線奏者が演奏する場所をいう。狭義には義太夫節の場合に限って使われる。文楽の場合には舞台の上手から斜めに客席のほうへ張り出した形に設けられ,舞台面より一段高く(約40cm)なっている。床面のほぼ中央に直径約2mの回り舞台のような盆が切られてあり,真ん中に両面張りの衝立(ついたて)を置いて前後に仕切り,盆を回すことによって演奏者の交代を行う。衝立の上にはほぼ同じ幅の窓に御簾(みす)が掛けられ,その内側は2階になっていて〈御簾内〉と呼び,若手の太夫,三味線奏者の修業の場として使われる。
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世界大百科事典内の床の言及
【筏】より
…いかだの組み方は,伐木の大小,河況に応じ,構造を異にするが,一般的には,丸太材7~8本を並べ,藤蔓で結束する(のちには,マンリキなどとよぶ環のついた楔形鉄片を打ち込む方法も用いた)。いかだ1枚を1床とか1房といい,2~4枚ほどを1列縦隊に並べる。いかだの大きさにもよるが,およそ2~3人乗りで,それぞれ前からサキノリ(あるいはヘノリ,ハナノリともいう),ナカノリ,アトノリ(トモノリともいう)といい,サキノリは熟練者が当たった。…
【茶室】より
…その四畳半は,書院から完全に脱皮した草庵の構造と意匠を示すにはいたっていなかったが,茶の湯の本質を建築的に表現しえていたことは確かである。伝書に記された紹鷗四畳半は,北向で上り口に簀の子縁(すのこえん)がつき,檜柱(ひのきばしら)で白の張付壁,天井はノネ板張りで高さ7尺1寸,間口1間に深さ2尺3寸の床を構えていた。そして小壁がいくらか高く,鴨居内法高(うちのりだか)を通常より低くしていた。…
【社寺建築構造】より
…社寺建築の大部分は一階であって,二階のあるものは門,鐘楼などを除けばごく少なく,三階以上は塔以外にはない(図1)。
【各部分の構造】
社寺建築はまず基壇を築き,礎石をすえ,柱を立て,貫でこれをつなぎ,上に組物を置いて桁,梁を渡し,垂木(たるき)をかけ,屋根を葺き,いちおう雨のかからぬようにしてから,壁,窓,出入口をつくり,床,天井を張り,建具を入れ,装飾を施す。
[基壇]
神社建築では古くは基壇を設けず,礎石もない掘立柱であったが,飛鳥時代に大陸の建築様式が伝来してからは,宮殿,仏寺などは基壇を設け,神社建築もこれにならうようになった。…
【住居】より
…一つは通風に頼るもので開放的なつくりとなる。東南アジアに広く分布する高床住居(杭上住居)は,湿気の高い地表面から床面を離し,床下からの通風が耐暑の役割を果たす。しばしば竹床が用いられ,すきまをあけて張るようにされている。…
【日本建築】より
…これは雨から壁や縁をまもるためでもあり,また暑い季節,雨の降っているときでも,戸をあけておくために必要であった。建物の内部には床(ゆか)が張られる。床はすでに古代初期には一般的に行われており,奈良時代の後半からしだいに仏教建築にも入っていった。…
【出語り】より
…初期の人形浄瑠璃では太夫と三味線は幕の陰で語っていたが,1705年(宝永2)大坂竹本座の《用明天王職人鑑》から出語り出遣いが始まったといわれる。現在の文楽では,ごく短い端場を除いて出語りが主となっており,演奏者は舞台上手(右)にしつらえた床(ゆか)に座し,肩衣を着用する。出語りでない場合は床の上部の御簾(みす)の陰で語るので〈御簾内(みすうち)〉と呼ぶ。…
※「床」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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