改訂新版 世界大百科事典 「寧楽遺文」の意味・わかりやすい解説
寧楽遺文 (ならいぶん)
奈良時代を中心とした史料集。竹内理三編。上下2巻。1943,44年刊。62年に補遺改訂して上中下3巻。政治編(戸籍,計帳,正税帳,四度公文枝文,太政官符),宗教編(寺院縁起幷流記資財帳,献物帳,造寺所公文,写経所公文),経済編(諸国田券,奴婢帳),文学編(風土記,人々伝,詩集,人々啓状,金石文)からなり,計16目に類別し,《正倉院文書》を中心とする主要な古文書や,記録,金石史料を収録し,巻末に奈良時代の基本文献,史料についての紹介,および収録史料の解説を付している。《正倉院文書》をはじめて内容的に類別していること,《日本書紀》《続日本紀》以外の当代重要史料を集成していることなど,日本古代史研究の基本図書の一つである。
執筆者:岸 俊男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報