改訂新版 世界大百科事典 「封建法書」の意味・わかりやすい解説
封建法書 (ほうけんほうしょ)
Libri feudorum[ラテン]
封建的主従関係(封建制度)を規律する法(封建法)の諸法源のうちの私的な編纂書。11世紀末から13世紀中ごろまでの間に,北イタリアでしだいに今日の姿に整えられるにいたった。このなかには,神聖ローマ帝国皇帝コンラート2世やロタール3世らの親封臣的な傾向をもつレーン立法のほかに,当時の北イタリアにおける数種の封建法関係の著作が含まれており,13世紀中ごろまでに,それらは改訂され増補され整備されていった。この書に表現される封建法の特徴は,家臣の義務よりは権利が説かれていることで,親封臣的な傾向,すなわち,封建制の遠心的性格が強いことである。
封建法書はドイツに入って,封建制度のもつ国家分解的な性格を促進する役割を果たした。そしてさらには,15世紀末にドイツでは,ローマ法大全の一部として扱われるまでになった。
執筆者:塙 浩
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報