専売制(読み)せんばいせい

旺文社日本史事典 三訂版 「専売制」の解説

専売制
せんばいせい

江戸時代,諸藩が財政難打開のため特定物資の生産・販売などを独占した制度
商品作物の栽培・加工などを藩が保護・奨励して,藩営の国産会所物産会所)などが一手に買い上げ販売し,その利潤を藩収入とした形が多い。江戸中期以後の藩政改革で採用された。仙台藩の米・塩,加賀藩の塩,会津藩の漆・蠟,薩摩藩の砂糖,長州・土佐藩の紙などが有名。また専売制に反対一揆も各地で発生した。明治時代以後,政府はたばこ・塩・樟脳・アルコールなどに専売制を実施した。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の専売制の言及

【嗜好品】より

…そうしたことから,為政者は酒,タバコ,コーヒーなどについてしばしば禁令を発し,民衆はそれに反発することが繰り返された。禁止が不可能になると一転して課税の対象とされ,さらには販売利益を独占的に国家収入とするために専売制をとることも多かった。タバコは酒よりも中毒性が強く,価格の引上げや品質の低下によっても消費の減少を見ることが少ない。…

【タバコ(煙草)】より

…バーレー種は東北地方で生産され,アメリカン・ブレンド製品の原料となっている。 日本の葉タバコ生産は,1898年より葉タバコ専売制度のもとにおかれていたが,1985年4月より専売制度が廃止され,特殊会社(日本たばこ産業(株))と契約して栽培することとなった。国際競争時代に向けて今後の課題として,労働時間の短縮と規模拡大による低コスト生産,および主産地形成,品質の向上が叫ばれている。…

【藩専売制】より

…江戸時代に諸藩が特定商品の仕入れ,あるいは販売を独占して利益をはかる制度をいう。すでに江戸初期から実施されており,代表的なものとして加賀・仙台両藩における塩専売制の実施がある。たとえば加賀藩では,早くから能登半島で揚浜塩田による塩の生産が行われていたが,藩は塩手米との引換えで生産された塩を一手に独占し,他国塩の領内移入を禁止してこれを領内に販売していた。…

※「専売制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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