将軍塚絵巻(読み)しょうぐんづかえまき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「将軍塚絵巻」の意味・わかりやすい解説

将軍塚絵巻
しょうぐんづかえまき

鎌倉時代(13世紀)の絵巻。1巻。京都・高山寺蔵。筆者不詳。詞(ことば)を欠いているが、その図様からみて、平安遷都の際、王城鎮護のため東山頂上に築かれた将軍塚の由来を描いたものとわかる。大ぜいの人夫がもっこを担いで土を運ぶさまから、完成した塚穴甲冑(かっちゅう)をつけた将軍坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)の像が立っているところなどを、白描(はくびょう)体の墨線で一気に描き上げている。その奔放な曲線螺旋(らせん)風の闊達(かったつ)な描線は他に類がない。

[村重 寧]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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