…尊円は初め藤原行成を始祖とする世尊寺流を学んだが,さらに小野道風や宋の書風を加えて,流麗豊肥で親しみやすい一流を完成させた。この書流は彼が青蓮院門跡(第17世)であったので青蓮院流,または尊円流,粟田流とも呼ばれている。この書風は歴代の青蓮院門主に伝授継承され,室町時代には一典型となって盛んに行われたが,やがて江戸時代に入ると朝廷,幕府,諸藩の公文書,制札などにこの書流が採用された。…
…これらには後鳥羽天皇を中心とする《新古今集》の宮廷歌人の筆跡がまとまって伝存し,法性寺流を基調としながらも個性的な筆勢が明らかである。名筆として知られた伏見天皇(1265‐1317)は平安時代の書に習熟し,復古的な流麗さをもって著名で,その皇子尊円親王は世尊寺流に宋風を加味した尊円流を創めた。青蓮院(しようれんいん)流とも呼び,後世の御家流(おいえりゆう)の基礎となった。…
…能書家の伏見天皇を父とする尊円親王を祖とする。親王が京都粟田口の門跡寺院青蓮院に住したのでこの名があり,粟田口流,尊円流とも呼ばれる。親王は世尊寺流の上代様に新しく中国宋代の張即之の強さを加えた秀れた書風を生み出したが,末流はもっぱら豊潤を宗とするようになって世の好みに合い,したがってまた卑俗にもなった。…
※「尊円流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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