尋常性天疱瘡(読み)じんじょうせいてんぽうそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「尋常性天疱瘡」の意味・わかりやすい解説

尋常性天疱瘡
じんじょうせいてんぽうそう

天疱瘡とよばれる一群水疱性疾患のうち、もっとも通常的にみられる病型をいい、自己免疫疾患と考えられている。一般に突然、口腔(こうくう)内および全身の水疱の発生で始まり、水疱は軽い摩擦でもすぐに破れ、疼痛(とうつう)を訴える。診断は臨床症状のほか、組織学的、免疫学的検査によって確定される。水疱形成の著しい時期には、患者血清中に天疱瘡抗体を検出し、寛解期には消失することが知られている。水疱よりのタンパク漏出および細菌感染、口腔内水疱とびらんによる疼痛のための摂食困難などがあり、適切な治療を加えないと衰弱のため生命にかかわることもある。治療は、副腎(ふくじん)皮質ホルモンが通常用いられるが、ほかに金製剤免疫抑制剤なども併用され、血中抗体との関連から血漿(けっしょう)交換療法なども行われている。いずれにしても経過が長いのが普通である。

[上田由紀子]

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世界大百科事典(旧版)内の尋常性天疱瘡の言及

【天疱瘡】より

…なお,天疱瘡ときわめて類似する皮膚症状を示すが,その本態が異なる水疱性類天疱瘡,疱疹状皮膚炎,妊娠性疱疹,家族性慢性良性天疱瘡,良性粘膜類天疱瘡は,ここでいう天疱瘡とは別疾患である。 天疱瘡は中年以上の男女に好発し,通常,発疹の性状および病理組織学的所見から,尋常性天疱瘡,増殖性天疱瘡,落葉状天疱瘡,紅斑性天疱瘡の4型に分けられる。なかでも尋常性天疱瘡が最も重症である。…

※「尋常性天疱瘡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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