朝日日本歴史人物事典 「小出兼政」の解説
小出兼政
生年:寛政9.8.27(1797.10.16)
幕末の暦学者,算学者。代々阿波(徳島)藩士。9歳で跡目を継いだが,文政9(1826)年勉学修業のため藩を辞した。通称長十郎,字は修喜。算学はまず宮城流の恒川徳行から皆伝を受け,次に江戸に出て関流日下誠に学び免許皆伝,さらに和田寧につき円理を究め,最上流会田安明より伝書100巻を受けた。円通に暦術を学び,天保5(1834)年土御門に入門して『丁酉元暦』を著して師に献じ土御門家の師範代となった。さらに翌年江戸に赴き天文方渋川景佑のもとに入門した。和算・暦術の著書は多く『五星暦』(6冊),『算法対数表』(1冊,これは刊行されたわが国最初の対数表である)さらにフランスの天文学者ラランド(1732~1807)の暦書の翻訳書『蝋蘭垤訳書』を養子光教らの協力で訳述し,他にも『応元暦』『応元暦改正』『安政暦』『捷径暦』その他がある。
(内田正男)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報