小松島津(読み)こまつしまのつ

日本歴史地名大系 「小松島津」の解説

小松島津
こまつしまのつ

勝浦かつうら郡の北東部にあった中世の湊津。北は勝浦川河口部に近く、当津に注ぐ神田瀬かんだせ川などは勝浦川のかつての分流であったとされており、勝浦川の水運によって運ばれる諸物資が集まる要所であった。正応年間(一二八八―九三)と推定される紀伊熊野新宮禰宜宮主高実書状案(熊野新宮文書)に「小松島津」とみえ、高実が当津で材木を受取ったと生夷いくいな(現勝浦町)地頭が訴えているが、それは事実ではないと書送っており、鎌倉期に生夷庄から切出された材木が積出されていたと考えられる。当津は勝浦新庄のうちであり、元亨四年(一三二四)幕府による海賊討伐が推進されるなかで、勝浦新庄の預所である肥後守経家が小山石見守に対して海賊船の動きを見聞次第に報じること、海賊船と区別するために同庄の「小松島浦船」は唐梅の紋を付けることを誓っている(同年四月二七日「新田経家請文」小山文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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