朝日日本歴史人物事典 「小栗三郎」の解説
小栗三郎
生年:天保6.9.22(1835.11.12)
幕末明治期の肥料商。小栗三郎兵衛第10代。初代は三河国(愛知県)出身で,明治維新以降,第10代から三郎に改称。幕末には農業と酒造業(江戸市場向け)を営み,自家所有の千石船で魚肥,雑穀などの遠隔地商業にも進出した(商号は万三商店)。明治初期にはすでに三井物産の有力仲買人のひとりであった。日露戦争後間もなく豆粕の製造にも着手,このころの肥料営業規模は全国でも十指に入ると思われ,愛知県多額納税者のひとりでもあった。明治中期には地元半田の有力企業・知多紡績や丸三麦酒の設立に参加。また知多商業会議所発起人のひとりとして,地元産業の発展にも尽くした。<参考文献>『半田市誌』,村上はつ「知多雑穀肥料商業の展開」(東大出版会編『近代日本の商品流通』),村瀬正章『近世伊勢湾海運史の研究』
(西村はつ)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報