ラファージ(その他表記)John La Farge

改訂新版 世界大百科事典 「ラファージ」の意味・わかりやすい解説

ラ・ファージ
John La Farge
生没年:1835-1910

アメリカ画家。フランス移民の子としてニューヨークで生まれる。1856年渡欧し,はじめバルビゾン派に,ついでラファエル前派に興味をもつ。帰国後,59年からニューポートでフランス印象派風の手法を試みる。このころ北斎を知り,70年に《日本美術論》を書く。70年代から壁画ステンドグラス領域に移り,アメリカ・アーツ・アンド・クラフツ運動の中心的存在となる。86年来日し,帰国後,日光風景に基づいてニューヨークの昇天教会の壁画(1887)を制作したほか,日本美術を消化した作品をのこす。日本旅行記として《画家東遊録》(1897)を出版
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラファージ」の意味・わかりやすい解説

ラファージ
らふぁーじ
John La Farge
(1835―1910)

アメリカの画家。ニューヨークに生まれる。1856年渡仏してトマ・クーチュールに師事、59年にはニューポートでウィリアム・モリス・ハントに一時ついている。光と色の関係について研究した結果に基づく風景画を描いたが、70年にユニークな『日本美術論』を書いたあと壁画とステンドグラスに興味を移し、ティファニーとともにアメリカの美術工芸運動の中心的な存在となった。日本を訪れたのは86年(明治19)で、フェノロサ岡倉天心の世話を受けている。日光(栃木県)の風景に基づいたニューヨークの昇天教会の壁画を制作したほか、広重(ひろしげ)の浮世絵から発想したステンドグラスなどもつくっている。日本訪問記『画家東遊録』を97年に出版した。

桑原住雄

『久富貢・桑原住雄訳『画家東遊録』(1981・中央公論美術出版)』

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朝日日本歴史人物事典 「ラファージ」の解説

ラ・ファージ

没年:1910.11.14(1910.11.14)
生年:1835.3.31
明治期に来日したアメリカの画家。ニューヨーク生まれ。1856年渡欧,パリで美術,文芸界の知己を得,イギリスではラファエル前派の作品に強く感化された。58年末~59年初ニューヨークへ戻り,このころ日本の浮世絵に触れた。64年作「花瓶」はジャポニスムの早い作例である。70年,アメリカでの最初の日本美術紹介となった「日本美術随想」を発表。モースらと交友し,明治19(1886)年3カ月間来日した。『画家東遊録』(1897)はその体験録。岡倉天心に「アメリカの雅邦」といわしめ,美術商林忠正とも親交があった。日本の工芸品を高く評価したことでも知られる。

(三輪英夫)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「ラファージ」の解説

ラ=ファージ La Farge, John

1835-1910 アメリカの画家。
1835年3月31日生まれ。明治19年(1886)来日し,滞日3ヵ月間の見聞を「画家東遊録」として出版。岡倉天心と生涯にわたって交遊があり,「茶の本」を献呈されている。日本美術を紹介し,ジャポニスムの画家として知られた。1910年11月14日死去。75歳。ニューヨーク出身。

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