小樽港湾労働者争議(読み)おたるこうわんろうどうしゃそうぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小樽港湾労働者争議」の意味・わかりやすい解説

小樽港湾労働者争議
おたるこうわんろうどうしゃそうぎ

親方的業者のもとに中間搾取、長時間労働で苦しんでいた北海道・小樽港、小樽駅などの荷役(にやく)労働者による争議。1927年(昭和2)6月、一艀(はしけ)船業者に属する沖仲仕33人が増給を要求、全員解雇されたため争議になった。日本労働組合評議会、小樽合同労働組合、労働農民党小樽支部はこれを応援し、全荷役労働者に規定賃金の割引き反対、10時間労働制などを要求するゼネストを訴え、6月18日から7月5日まで、最盛時には荷役労働者1400人、自由(日雇)労働者700人がストライキに入った。争議は函館(はこだて)、釧路(くしろ)、室蘭(むろらん)へ波及気配を示す一方、臨時作業員によって荷役も再開に向かったので、地元有力者の調停で解雇手当30円、復職者は誓約書差入れなどの条件で妥協が成立した。

松尾 洋]

『谷口善太郎著『日本労働組合評議会史』(1975・新日本出版社)』『内務省社会局労働部編『昭和二年労働運動年報』復刻版(1971・明治文献)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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