中間搾取(読み)チュウカンサクシュ

デジタル大辞泉 「中間搾取」の意味・読み・例文・類語

ちゅうかん‐さくしゅ【中間搾取】

賃金支払者と労働者との間に介在し、賃金の一部を横取りすること。

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精選版 日本国語大辞典 「中間搾取」の意味・読み・例文・類語

ちゅうかん‐さくしゅ【中間搾取】

  1. 〘 名詞 〙 資本家と労働者の中間で労働者の賃金の一部を横取りすること。組頭制・労務供給業・社外工制・下請制・仲介人などにみられる。ピンはね。
    1. [初出の実例]「私は日本の漁師たちが〈略〉中間搾取に苦しんでいることを知っている」(出典:赤い国の旅人(1955)〈火野葦平〉四月二二日)

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改訂新版 世界大百科事典 「中間搾取」の意味・わかりやすい解説

中間搾取 (ちゅうかんさくしゅ)

本来,労働者と使用者の間で直接交わされるべき雇用契約に介入して,どちらかから謝礼を受け取ったり,賃金の一部を先取りすること。俗に〈ぴんはね〉と呼ばれる。中間搾取には大きく分けて,中間請負人(請負業者)が特定の作業を請け負い,その請負代金の一部を取得する形態と,労働者を直接供給し労働者からその賃金の一部を取得する形態とがある。第2次大戦前の日本では製造業を中心として社会的に適法な行為として広範に存在していたが,戦後,職業安定法44条が労働者供給事業を禁止し,労働基準法6条が〈他人就業に介入して利益を得てはならない〉ことを規定するにともなって,合法的には存在しなくなった。だが造船業鉄鋼業などに代表的な社外工制度など新たな形態での中間搾取は広く残存していた。また最近,対事業所サービスの分野で装いを新たにした請負業,人材派遣業が急速に拡大し,現行法とのずれが問題となってきている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中間搾取」の意味・わかりやすい解説

中間搾取
ちゅうかんさくしゅ

製品加工・組立てや労働力供給の中間に介在し、取引機会の供給と管理・監督などを理由に、主として下請業者や労働者の賃料のぴんはねを行うことをいう。中間搾取も搾取の一形態ではあるが、その内容は搾取より狭く、内職家内労働土建業鉱業などでの請負労働など、いわゆる縁辺労働に支配的に認められる。他方、高度産業経済下での企業内分業や社会的分業発達が、社外工制や下請加工制を不可避なものとしたり、パート労働を増加させている面もある。今日では、あまりにも前近代的な中間搾取行為は、職業安定法や労働基準法、さらには不当・不正な取引を禁じている独占禁止法などによって、法制的に規制されており、その是正策がとられている。

[吉家清次]

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