小波渡村(読み)こばとむら

日本歴史地名大系 「小波渡村」の解説

小波渡村
こばとむら

[現在地名]鶴岡市小波渡

日本海に面し、北東三瀬さんぜ村、南西堅苔沢かたのりざわ村。地名岩山があって陸路は険しく、隣村にも船で渡り、「小波を渡る」ことにちなむとされる。慶長一六年(一六一一)検地帳(山形県漁業志資料)によれば、本田二千七五束刈(取米二九石余)・出田四五束刈(取米三斗余)・苗代五七束刈(取米五斗余)・本畠米一石余・出畠米二斗余の計三一石余。居屋敷二五・家数六七、うち名子四二。元和八年(一六二二)の酒井氏知行目録に小波戸村とみえ、高六三石余で、その後高はほとんど変わらない漁業中心の村。寛文九年(一六六九)の検地帳(山形県漁業志資料)では田二千一二〇束・苗代刈五七束の計六〇石余、畑高三石余。文化四年(一八〇七)幕命による最上徳内巡回の際の温海組漁村明細答書(「御用万年帳」温海文書)では家数八八。弍郡詳記の家数一〇七。農業・漁業のほか、天保一三年(一八四二)の温海組小商体之者書上帳(温海文書)によれば、茶屋向菓子菓物草鞋類商一・糀商二・蝋燭商二・干物塩物類青苧商一・色々見商二・小間物類商四・米買出商二・味噌小商一・煙草一。

享和二年(一八〇二)の佐藤五郎右衛門家系譜(鶴岡市郷土資料館蔵)は、源義経の家臣佐藤庄司基晴の孫信通が当村を開いた旨を説き、「漁猟ヲナシテ業トシ子孫を全フシ時運ノ至ルヲ待シケリ」と記しており、庄内浜において最も早く漁業の開始された地域とされる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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