鶴岡市(読み)ツルオカシ

デジタル大辞泉 「鶴岡市」の意味・読み・例文・類語

つるおか‐し〔つるをか‐〕【鶴岡市】

鶴岡

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日本歴史地名大系 「鶴岡市」の解説

鶴岡市
つるおかし

面積:二三四・八三平方キロ

県の西部、庄内平野の南西部に位置する。南は東田川郡朝日あさひ村・西田川郡温海あつみ町、東は北流するあか川を境に東田川郡櫛引くしびき町・羽黒町藤島ふじしま町・三川みかわ町、北は酒田市に接し、西は日本海に面する。南東部には摩耶まや山地の支脈が張出し、母狩ほかり(七五一メートル)金峯きんぽう(四五八・五メートル)が並ぶ。南西部には加茂かも丘陵が海に沿って北へ延び、西側に岩浜を形成している。海岸線は単調であるが加茂と由良ゆらには小湾があり、漁業の基地となっている。加茂丘陵麓には湯野浜ゆのはま温泉、金峯山麓には湯田川ゆたがわ温泉(湯田川)新山にいやま鉱泉(高坂)が湧出し、湯野浜と由良には海水浴場がある。北・東・中央を占める平野部は赤川扇状地と大山おおやま川の流域からなり、庄内米の美田地帯。大山川は水量が少ないので河床が低く排水の役割を果すのみで、水田の灌漑用水は東寄りを北流する青竜寺しようりゆうじ川と大山川の上流部八沢やさわ川による。JR羽越本線が南西端から東へと通り、国道は羽越本線にほぼ沿って七号、旧小国おぐに街道に沿って南から東へ三四五号、東部を北へ一一二号が通っている。

鶴岡の地名は、慶長八年(一六〇三)最上義光により大宝寺だいほうじ(大梵寺)から改められたことに始まるとされる(「菅原政次書留」旧山形県史所収文書)。近世には鶴ヶ岡とよばれた。なお大宝寺の由来については赤川の旧名大梵寺だいぼんじ(字)川にちなむという説があるが(庄内物語)、起源等は不詳。おそらく近世の鶴ヶ岡城下とその北東下大宝寺村を含む赤川西岸一帯をさしていたと思われる。室町初期以降の成立とみられる「義経記」には、源義経一行が田川たがわから「大泉の庄大梵字」を通り羽黒山を拝しながら奥州平泉へ向かったことが記される。武藤長盛は文和二年(一三五三)家督を継ぎ大梵寺に居住したとされるから(筆濃余理)、大梵寺・大宝寺の地名は室町以降に成立したとも考えられる。かつて市域東方は櫛引郡、西方は田川郡に属し、寛文四年(一六六四)以降はすべて田川郡となった。

〔原始・古代〕

市域南西部の丘陵や山麓には旧石器時代から弥生時代にかけての遺跡が散在し、とくに縄文時代の遺跡は四〇ヵ所を超える。台地上にある岡山おかやま遺跡の発掘調査では、縄文時代前・中期の三四棟の竪穴住居が出土し、集落跡が解明されている。庄内平野の南端に近い谷定たにさだ遺跡は縄文時代後・晩期の良好な遺跡。弥生時代の居住は明白であるが、詳細は明らかでない。長持形石棺を出土した菱津ひしづ古墳は古墳時代後期初頭の築造で、庄内地方では唯一確実に断定できる古墳である。


鶴岡市
つるおかし

2005年10月1日:鶴岡市と東田川郡櫛引町・羽黒町・藤島町朝日村、西田川郡温海町が合併
【朝日村】山形県:東田川郡
【櫛引町】山形県:東田川郡
【羽黒町】山形県:東田川郡
【藤島町】山形県:東田川郡
【温海町】山形県:西田川郡
【鶴岡市】山形県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鶴岡市」の意味・わかりやすい解説

鶴岡〔市〕
つるおか

山形県西部,庄内平野の南部にある市。西は日本海に面し,南で新潟県に接する。東部から南部にかけては出羽山地朝日山地の丘陵地が連なり赤川とその支流が市域を貫流する。 1924年市制。 1955年栄村,京田村,大泉村,湯田川村,黄金村,斎村,田川村,上郷村,豊浦村,加茂町,1963年大山町を編入。 2005年藤島町,羽黒町,櫛引町,朝日村,温海町の5町村と合体。中心市街地は赤川の流域にあり,鎌倉時代には大泉荘の地頭武藤氏が統治,大宝寺と称した。慶長8 (1603) 年最上義光が大宝寺城を鶴ヶ岡城と改称,地名も鶴ヶ岡となった。元和8 (1622) 年から幕末まで酒井氏の城下町として発展。かつては絹織物業が盛んであったが,電気機器工業が主要な工業となっている。北部を中心に米の単作が行なわれる。大山地区は銘酒の産地として知られ,江戸時代に栄えた船着場のあった加茂は漁港として機能している。出羽三山 (月山羽黒山湯殿山 ) を中心とした市域南東部は磐梯朝日国立公園に属する。海岸部一帯と金峰山の名勝地一帯は庄内海浜県立自然公園に属し,湯野浜温泉湯田川温泉温海温泉がある。出羽三山近辺には月山をはじめとして羽黒山の爺スギや南谷のカスミザクラなど国指定天然記念物が多く所在し,羽黒山のスギ並木は特別天然記念物。出羽三山神社の羽黒山五重塔は国宝に指定。旧藩校の致道館は国指定の史跡で,付近の致道博物館には酒井氏庭園 (国指定名勝) があり,銘信房作の太刀 (国宝) など多数の文化財が収蔵されている。黒川の春日神社には中世以来,農民が能を奉納しており,黒川能として国の重要無形民俗文化財に指定されている。ほかにも松ヶ岡開墾場,小国城跡 (以上国指定史跡) ,金峰山,玉川寺庭園 (以上国指定名勝) ,熊野神社の大スギ,文下 (ほうだし) のケヤキ,山五十川 (やまいらがわ) の玉スギ,早田 (わさだ) のオハツキイチョウ,三瀬気比神社社叢 (以上国指定天然記念物) など,国指定の文化財や記念物を多数抱える。 JR羽越本線,国道7号線,112号線,345号線が通り,山形自動車道のインターチェンジがある。面積 1311.53km2(境界未定)。人口 12万2347(2020)。

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