小篠原遺跡(読み)こしのはらいせき

改訂新版 世界大百科事典 「小篠原遺跡」の意味・わかりやすい解説

小篠原遺跡 (こしのはらいせき)

滋賀県野洲市小篠原にあり,大岩山と呼んでいる丘陵から計24個もの銅鐸が出土した著名な遺跡湖東平野を見下ろす景勝の丘陵突端に立地しており,1881年に14個,また1962年にはそのすぐ近くから10個の銅鐸がまとまって出土して,一遺跡での最多記録となっている。62年の発見では,製作年代も工人グループも異なった大小3個を入れ子にして組み合わせたものが3組あった。1881年の発見による1号鐸は,高さ134.5cm,重さ45kg,現存する最大の銅鐸で,突線鈕式に属し近畿地方では最も新しい型式である。小篠原にみられるこのような1ヵ所に集められた銅鐸については,これまでムラ単位の祭りに使用していた銅鐸を,ムラの枠を捨ててより大きな規模集団を構成し,祭りも統合の形をとっていった結果であり,弥生時代の社会そのものが統合の方向へ進み,政治的勢力基盤が形成されつつあったことの現れとみる考え方がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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